red sign* another story【後編〜love again〜】
『ゆーきせんせい!
ボクがおおきくなったら およめさんにしてあげるね』
『あ〜、だめだよぉ〜!
ボクが およめさんにするんだからね!』
『りさが およめさんにするの!』
『りさちゃんは おんなのこだから
ゆーきせんせいとは けっこんできないんだよ』
『そうだよ、そうだよ!』
『う・・・うぇ・・・』
『ほらほら、しゅうちゃんも けんちゃんも。
女の子泣かせたらダメでしょう?
先生は イジワルな男の子より 優しい男の子が好きよ』
『えー。
じゃあ、ぼく やさしくなる。
りさちゃん ごめんね』
『ごめんね、りさちゃん』
『二人ともよくできました。
りさちゃんも 許してあげてね』
『うん』
子供の同士の小さなトラブルはつきもの。
大人と違って すぐに仲直りできちゃうなんて やっぱり純粋だからかな?
けれど 純粋ゆえに 困ってしまうことがある。
時々 投げかけられる突拍子もない質問なんて特に。
『ゆーきせんせい』
『なぁに?りさちゃん』
『せんせいには やさしくしてくれる おとこのこ いるの?』
『えっ?』
優しくしてくれる男の子・・・って。
最近の女の子は おませさんが多い。
テレビの影響もあるんだろうけど。
パパとママが ちゅうしてたって教えてくれたり、
逆に先生は 誰とちゅうするの?って聞かれたり。
普通の大人だったら 受け流してしまうだろう。
でも あたしにはそういうマネはできない。
確かに困ってしまうことはあるけど、 真っ直ぐな瞳だからこそ
答えられるところは ちゃんと答えようと思っているから。
だから あたしは 答える。
「優しくしてくれる人が ちゃんといるよ」・・・って。
バックの奥に光る小さな点滅に気づいたのは 駅の改札を出たときだった。
着信ありの表示に 彼女からの電話だと思った。
ちょうど明日 久々に食事に行く約束してたし。
美味しいお店 探さなきゃって張り切ってたから。
なかなか お互い休みが合わなくて・・・
ようやく・・・って感じ。
ケータイを手に取り かけなおそうかと履歴を見た途端
道の ど真ん中で 思わず固まってしまった。
・・・///不意打ちすぎますよ///・・・
その名前が表示されたのは1ヶ月ぶり。
・・・///どっ、どうしよう///・・・
・・・///るっ、留守電も入ってる///・・・
ひとりで ドキドキして、あたふたして・・・
『ねーちゃん、邪魔だよ(怒)』
そんな声が背後から聞こえて
通行人の邪魔になっていることに ようやく気がついた。
大きな街路樹の下へと移動した あたしは
留守電に残されたその声を ドキドキしながら聞いた。
たった一言だけ・・・
・・・「連絡して」・・・
ただそれだけなのに 何度もリピートしてしまうなんて かなりの重症。
・・・///とっ、とりあえず、電話しなくちゃ///・・・
高鳴る胸の鼓動を抑えながら、ボタンを押そうとするけれど
なぜか指先が震える。
RRRRR・・・
コール音がこんなにも長く感じるなんて。
元彼の時は 一度もなかったのに。
「もしもし?」
・・・///でっ、出た///・・・
鼓動がさっきよりも早くなる。
心臓の音が 相手に聞こえてしまうかと思えるほどに。
『///おっ、お久しぶりです。 ゆっ、優紀です///』
///うわっ、声が裏返っちゃったっ///
「久しぶり。元気だった?」
『///はっ、はい。元気でした。 今日も元気・・です///』
・・・///何言ってるんだ?あたしは///・・・
「ゴメンね。なかなか連絡できなくて」
『///いいえ、大丈夫です。
そのお気持ちだけで・・・///』
十分です。
ほんの少しでも そう思ってくれるだけで。
「急で悪いんだけどさ、こっちに来られるかな?」
///もっ、もしかして デートの誘いですかっ?///
『///あっ、あの・・・こっちって、どっちでしょうか?///』
「ハワイ」
『は・・・わい?』
”はわい” って どこ?
もしかしてカクテルバーとか?
それとも 高級割烹料理のお店?
こんな風に書くのかな? ”葉和井”って。
「パスポート持ってる?」
『あ、はい・・・一応』
・・・どうして パスポートが必要なの?・・・
・・・パスポートって言ったら 海外でしょ?・・・
・・・えっ?・・・
・・・それって・・・
・・・嘘っ・・・
『は、は、ハワイですか!?本物の!?』
「そうだよ」
・・・そんなにさらりと言わないでください・・・
・・・いくらなんでも 急すぎじゃないですか?・・・
・・・でも、どうして・・・
・・・ハワイ!?・・・
戸惑っているあたしが 余程おかしかったのか クスクスと笑っている彼。
「・・・いいもの見せてあげるからおいで」
『いいものって・・・何ですか?』
「君がずっと願ってた 大親友の晴れ舞台・・・」
・・・あたしが願ってた・・・
・・・大親友の 晴れ舞台?・・・
『もっ、もしかして それって・・・』
あの人と出逢った頃のあたしは まだ子供で・・・
全然相手にしてもらえなかった。
今思えば 恋愛対象外な存在だったんだと思う。
その彼に再会したのは 2ヵ月ほど前になる。
付き合ってた彼と別れた ちょうどあの日。
元彼と別れた理由・・・
それは・・・
お互いが嫌いになって別れたわけじゃなかった。
好きだったけど・・・
心のどこかで ”あの人”と彼を比べてしまう もう一人のあたしがいて・・・
卑怯だとは思っていても ずっと気持ちを隠してきた。
時間が経てば この想いも消えていくはず・・・
そう思ってたのに・・・
先日 家元襲名披露の日取りが決まったという ニュースを
たまたま見てしまって・・・
それ以来、そのときの笑顔が どうしても忘れられなくて
あたしの心は 日を追うごとに あの人に占領されていった。
そして・・・
とうとう抑えきれなくなってしまって
今まで隠していた気持ちを 全て彼に告白した。
彼を利用して あの人のことを忘れようとしたことも。
自分でも最低な女だと思った。
だから・・・
その日を境に 自分から距離を置いた。
もう一緒にはいられないと。
彼をずっと裏切ってきたのだから・・・
それから しばらくして 彼から電話があった。
・・・「ちゃんと区切りをつけよう」・・・
思ったよりも穏やかな口ぶりだった。
どんなことを言われようとも
自分の気持ちに素直でありたいと あたしは思っていた。
いろんな意味で覚悟してきたのに・・・
彼は最後まで あたしを責めたりしなかった。
・・・「わかってたよ、最初から。
優紀の心には俺じゃない誰かが存在してるって。
それでも傍にいたかったんだ。
俺の方こそ 気づかないふりして ゴメンな」・・・
どこか吹っ切れたような表情で あたしの頭を撫でた彼。
あたしは大バカ者だ。
こんなにステキな人を・・・
それなのに・・・
「優紀が本当に想っている人と 結ばれるように祈ってるから・・・」
そう言って 地下鉄の階段を下っていった 彼の瞳は いつになく温かいものだった。
不思議と涙は出なかった。
昨夜たくさん泣いたからかな?
ゴメンなさい。
そして・・・
ありがとう。
望みのない恋を応援してくれる あなたは
あたしには もったいないぐらいの 優しい人でした。
それから 30分もたたないうちに ずっと想い続けてきた あの人と
偶然にも再会してしまった。
名前を呼ばれて振り返ると 懐かしい笑顔がそこにあって。
夢かと思った。
こんな偶然ってあるの?って思った。
久しぶりに会った彼は 昔と全然変わってなくて・・・
まるであの頃に戻ったような気分だった。
いろいろ話をしたけど、実は何を話していたのかすら覚えていない。
緊張しているあたしを気遣って 楽しい話をしてくれる、その優しさ。
やっぱり この人が好きなんだな〜って そう思った。
けれど もう一人の自分がブレーキをかけてしまう。
彼の笑顔は あたしだけの ものじゃないから。
このまま一生片想いでもいいって 思えちゃうぐらいの人だから。
別の世界で生きている人だから。
ここにいたら、もっと、もっと、って欲が出てしまう。
退屈しのぎに誘われたのだから それ以上を求めてはいけない。
大人になって ようやく解った。
高校生だった あの頃には 見えなかった大人の事情。
・・・適当に理由を作って もう 帰ろう・・・
そう思ってた矢先 彼のケータイが鳴った。
なんだか気まずそうだったから
きっと この後、電話の相手と会うんだろうなって 自分なりに解釈した。
なのに。
叶わない恋だと解っているのに
他の誰かの存在に 傷ついてしまっている自分がいて。
もう何もかもが矛盾だらけで。
そんな自分が嫌になった。
居たたまれず 立ち上がると
彼の大きな手は ケータイを選ばずに あたしの手を取った。
まだ ケータイは鳴り続けている。
「あ・・・の。ケータイ鳴ってます・・よ?」
・・・どうして 出ないんですか?・・・
・・・気を遣わなくてもいいんですよ?・・・
・・・もう 昔のように追いかけたりはしませんから・・・
彼に気持ちを悟られないように
涙を堪えて 平常心を装って。
「優紀ちゃん・・・
もうちょっと 俺の傍に居てくれる?」
そう言った彼の目が 子供達と同じぐらいに純粋な目をしてて。
この瞬間 あたしの心の信号が青に変わってしまった。
あの電話から 十数時間後、
親友の幸せな顔を見るために・・・
この世で一番美しい笑顔を見るために・・・
あたしは 機上の人となった。
本当はね、彼女に会ったら 新しい恋の報告をしようと思ってたんだ。
とてもステキな恋をしているんだと。
でも。
その話はもうちょっと先になりそう。
今は彼女の幸せを一緒に味わいたいから。
この飛行機が到着するのは おそらく夕方になるかもしれない。
間に合うかな・・・
日本とハワイの時差は凡そ19時間。
ほんの少し1日を逆戻りできる貴重な体験。
はやる気持ちを抑えながら、あの人がくれたリングにそっと触れてみる。
こうして触れているだけで あの人が傍にいるようで・・・温かい気持ちになる。
電話を切ろうとしたあたしに 「ちょっと待って」と呼び止めた。
それは 今まで生きてきた中で 一番嬉しかった言葉・・・
心の奥にジーンと響くような 甘いささやき・・・
その彼に逢えるのも あと数時間後・・・
どんな顔であたしを迎えてくれるのかな?・・・
あの人のことだから 隣りに綺麗な女性(ひと)がいたりして・・・
それでもいい・・・
それでも あなたが好きだから・・・
・・・「早く君に逢いたいよ」・・・
あたしも 早くあなたに逢いたいです。
西門さん。
↑
お気に召しましたら愛のポチお願いします^^
↓![]()
☆あとがき☆
red sign* another story【後編〜love again〜】 読んでくださってありがとうございまする^^
今回は優紀sideでした。
こちらも前編同様 そのままUPです。
変なトコ・誤字脱字のちほど修正予定です。
優紀がつくしの結婚式に駆けつけてくるまでのお話です。
いつのまにいい雰囲気になっちゃったの?っていう裏話と申しましょうか^^
そーじろーが結構本気モードなんですけど、
優紀の方はまだ自分は多くの中の一人っていう感覚。
この曖昧さ・・・通じましたでしょうか?
どちらかというと・・・
やっぱり男性目線が一番好きですね^^
特にそーじろーは書きやすいです。
【キスの温度の番外編・書き下ろし☆ぴんく・わふく・あくび男衆の巻】は書いてて
一番楽しかったです^^
よく読んでみると「あきら視点」なんですよね。
さっき読んで気づきました^^;(遅すぎっ!)
女の子目線はうまく表現できなくて四苦八苦です。
いつも愛のポチをありがとうです^^
拍手がゼロという日がないので本当に嬉しいです。
ぱぱとままとぴか・・・何気なく好評です。
HPでは ぴかちゃんが書いたような字でUPさせていただいておりまする^^
ブログの書体とは違いますので また楽しめるかと^^
それでは^^
しゃお☆しゃおでした^^



