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A day of the winter 7 (書き下ろし)

►2008/06/22 08:41 

牧野が写真立てを取り上げた後、





俺は滅多に入らないこの部屋を 何気なく見渡していた。










銀色。










おそらく ”ある束”から欠けたもの。





畳の上に落ちていた それを掌に乗せると 





市販のものではないことに気がついた。














そして・・・






古びたチェストの上に置いてある 安物のカゴの中に 





白い小さな紙袋を見つけた。










-----牧野つくし様

















3日前、仕事先までの移動中 




俺はいつものように 書類に目を通していた。






否が応でも そうせざるを得ない現実を 日々、受け止めながら。








大通りでの信号待ち。







交差点では 感情むきだしの クラクションが鳴り響く。







平日だというのに やたらと人が多い。







道も 渋滞し さっきから あまり進んでない。







苛立っても仕方ないから 連なる文字を端から端まで目を通す。 








そんな中、運転手の沢井が 小さな声をあげた。












「どーした?」










沢井を見ることもなく、書類をめくる。













「あ、いえ・・・」











話すのを躊躇しているのか、その先を言おうとしない。





俺が話しかけない限り、ひたすらハンドルに全神経を集中させる男だ。






その男が運転中に声を発することは 皆無に等しい。










「沢井?」









ミラー越しに 切れ長の目を じっと見つめると 




沢井は観念したように首を振り、口を開いた。












「多分・・・



私の見間違いだと思いますので、どうか聞き流してください」










「わかった。



で、何?」











「今、すぐそこの建物から・・・」










「建物?




それが どうかした?」














「牧野様が出ていらっしゃいました・・・」











「牧野が?」












「あ、いえ、本人だとはハッキリ申し上げられないのですが・・・






あの横顔は おそらく・・・」











沢井が見ている方に ゆっくり視線を移すと





ビルとビルの間に挟まれた それほど大きくはない白い建物が そこにあった。









掲げてある看板を見て 今度は俺の方が小さな声をあげた。









すると沢井は、 






「やはり、私の見間違いです。 似たような方は 沢山いらっしゃいますから」と





必死に弁明する。










が、しかし・・・









記憶力と洞察力が 抜群の男だ。









見間違えるなんて ほぼ ありえないだろう。








第一、牧野とは何度も顔を合わせているのだから。








そこは病院だった。










もしかして 誰かの見舞い?








それとも バイト?












おそらく前者、後者 共にありえないだろう。









入院するような設備もなさそうだし、バイトを雇うような病院ではない。












じゃあ、どうして牧野がここに?















胸騒ぎがする。









そして・・・








例えようもない 見えない何かが ズシリと俺の心に圧し掛かった。
















「沢井」













「はい、畏まりました」

































『///ほら、いつまでもそんなところに立っていないで、早く座って///』












まだ そこにいた俺は牧野に急かされ コタツに戻った。







こうして見ていると いつもの牧野だ。








けど、それは表面上であって 






心にどんな暗い闇を抱えてるのか 計り知れない。







銀色は俺のポケットの中。






コタツの中で そっとポケットの上からそのカタチに触れる。






あの時の胸騒ぎは 現実のものとなり、今こうして存在する。








病院に足を運ぶのは 余程のことだったはずだ。






医者嫌いで、いつも自然治癒で乗り切ってきた牧野なのだから。







ましてやメンタルクリニックなど。









沢井の話によると すでに3度目の通院だという。






個人保護法とかで病院側は なかなか口を割らなかったらしい。






沢井があらゆる手段を使ったのだろう。









涼しい顔をしながらも やることは いつも大胆だ。







運転手である前に 俺の頼もしい右腕。















俺にコーヒーを出した後、日本茶ををすすっていた牧野。







恐らくある程度のカフェインを控えているのだろう。







薬を服用している者なら 医者などから注意を受けているはずだから。
















喜怒哀楽。





感情全てが 作り物だと解ってしまった今・・・










守ってやりたくなる。








抱きしめたくなる。










ずっと抑えていた感情に流されそうになる。










こうなってしまった原因は ただひとつしか考えられない。






牧野を追いつめたもの。








それは・・・













今の牧野には酷かもしれないと思ったが






二人の関係を問いただした。









やはり あきらたちが昼間言っていたことは本当だった。










約束の4年が過ぎ、一向に帰ってくる気配もない あいつ。












知らなかった。










二人はうまくいってるはずだと思っていたから。









だから・・・・








近づかなかった。









近づけなかった。









近づいたら 理性を抑えられそうにもなかったから。











なのに・・・






どうして大切にしてやらない?







どうして安心させてやるような言葉をかけてやらない?








見損なったよ、おまえには。









いくら長年の親友だとしても。









ここまで牧野を追いつめたあいつを 俺は許さない。












『後悔先に立たず』















『えっ?何?』











『ううん、別に。たいしたことじゃない』













『なんか、気になるな』










牧野は首を傾げ またお茶をすする。










こんな時に 口にするのは卑怯だと思う。






相手の隙をつくような その言葉を。







だからこそ今、それを口にする。









------つきあおうか、俺たち






・・・と。

























あれから牧野とは 会っていない。







俺は俺で 海外での仕事に 多忙を極めていたから。







卒旅の連絡が入ったのは 殺人のような仕事に疲れ果て




死んだように眠っていた明け方の頃。








俺の返事は 寝ぼけながらも YES。










フランスにいることは伝えてあったが 





滞在を1日繰り上げて、すでに 現地に到着してるなんて





さすがのあきらも気づかないだろう。












あの日の牧野は 逃げきれないと思ったのか





仲間達には勿論のこと、あいつにも 






このことは絶対に公言しないという条件付きで 





そんなには遠くない過去を 振り返るように 淡々と語り始めた。 












--------心身症。









聞いたことはあった。








しかしそれがどういうものなのか、牧野に聞くまで知ることはなかった。








牧野の場合、精神的なもの・・・








つまりストレスが身体に影響を与えると言うものだった。









今は薬で眠っているという。









いわゆる睡眠障害。









そして拒食症の一歩手前。









そこまで精神的に 追い詰められていたとは・・・







これが夢だったら・・・と聞いている間 何度そう思ったことだろう。









牧野は決して あいつのことを責めたりはしなかった。








病院に通うようになってしまったのは 





全て自分の心が弱いせいだからと言った。







そして 遅くまでバイトをしてるのも 精神状態を安定させるため・・・だと。








心の闇を知った今、俺にできることは ただひとつ。













だから・・・











俺は ここにやって来た。














『こっ、困ります、花沢様っ』









秘書のひとりが アポ無しで来た俺を どうにか追い返そうと





小走りに後からついてくる。








SPも各フロアーに配置しているが、顔見知りの奴らばかり。









そう簡単には 手出しはしないだろう。








まさか こんなところにいるとは・・・な。









てっきり 新社屋の最上階にいると思ってたんだけどね。








事前に ねーちゃんに確認して正解だった。








さぁ、どこからでも出て来い。








どんな顔で出迎えてくれるんだ?










後悔先にたたず・・・









その意味を知らない おまえに じっくり教えてやるよ。











今更、言い訳なんて 俺には通用しないからな。












宣戦布告だ、司。












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☆あとがき☆

今回も書下ろし、RUI sideです^^
やはり本編が未熟だったせいか、物足りなさを感じ 書き下ろすことにしました。

内容も多少は変わりそうです。
つまり、本編とは別のお話になってしまいそうです。
ある意味、しゃお☆しゃおの新連載のようなものです。

ここで 上手くまとめないと・・・
続編の〜いつもふたりで〜に繋がらなくなってしまうかも^^;
大変だぁ〜≡ヽ(;´д`)ノひ〜っ


そうそう、類は市販の薬を知ってますよ。
しゃお☆しゃおの妄想では・・・なんですけどね(笑)。


誤字脱字のちほど修正しまする・・・多分^^;


テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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