sun and moon

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red sign* another story【前編〜signal〜】

►2008/06/26 16:05 

『この辺でいいや』









そう告げると 車は少し先にある花屋の前で静かに停まった。








「迎えはいいから」と言い残したものの・・・








さて これからどーするかな。














今日は休日だというのに 珍しく茶会もなくて・・・







久しぶりに遊んでやろうと意気込んでたのに・・・








あきらのやつ・・・




俺の誘いを ひとつ返事で断りやがった。








長年の親友である俺よりも 




おととい知り合った女の方が大事なんだとさ。








ケータイ越しに聞こえる甘い声に うんざりしちまって




「じゃあな」と切ったのは 10分ほど前。








相変わらずの女好きで ホント呆れちまう。













って。









俺も人のこと とやかく言える立場じゃねーんだけど。














最近 忙しすぎて 遊びの「あ」の字すら忘れてた。







遊びまくってた あの頃がすげー懐かしい。








いつも誰かが一緒だったから ひとりで過ごした記憶がほとんどない。


















ケータイの電源は・・・






う〜ん・・・








一応、入れておくか。














いちいち こんなことしてる俺って・・・







案外 寂しがりや?














しばらく 街をブラブラして ふと立ち止まる。








久しぶりだな。







何年ぶりだ?












”昔の女たち”と よく待ち合わせしてたカフェ。












一期一会・・・か。













あの頃の口説き文句・・・










しばらく使ってねーな。












時計を見ると まだ時間は たっぷりとある。







とりあえずここで あの頃の想い出に浸ってみるのもいーかもな。
















ブルマンをオーダーした後、周りを見渡せば・・・







みんな連れがいる女ばかり。










男がいようとも・・・






俺には関係ないんだけどさ。












でも。










今日はそんな気分じゃない。













家を出る前に 母親に押し付けられた写真の山。











どれでもいいから選べってさ。









どれでもいいからって言われてもな。








どんな女を選んでも 所詮 好きな女じゃない。







人と結婚するんじゃない。







家同士が結婚するんだ。









そんなこと ずっと昔からわかっていたはずのに






いざとなると 多少なりとも抵抗しちまう。









当たり障りなく、やんわりと。










「じっくりと 検討させていただきます」ってね。
















大学を卒業して 俺達 ジュニアはそれぞれの道を歩むことになった。







あんな調子だけど かなりのやり手らしい あきら。









とうとう親父さんの後釜に納まるらしい のんびりやの類。










そういえば・・・もうひとり いたな。










NYから 未だに帰って来ない猛獣みたいな奴が。







雑草女と別れた途端、連絡が途絶えた。








まぁ、類の”あの一言”が効いたんだろうけど。










2年か・・・










2年ねぇ・・・











そろそろ限界じゃねーの?










2年の実刑ってやつは。

















そして自称・雑草の女・・・







最近全然会ってねーけど 元気かな?







大手の旅行会社で頑張ってるって 滋から聞いて安心したけどさ。








猛獣と別れた頃 かなりボロボロだったからな。








俺達3人がNYに押しかけたことは 一切話していない。







話したところで 何も変わらないし、雑草女が傷つくだけだしな。













「何で2年?」って 実刑判決を下した裁判長に聞いてみたら






「う〜ん、なんとなく?」だってさ。












ただ、すぐに縒りを戻させるには早すぎる。






どれだけ 相手を傷つけたか 被告人は 身をもって知った方がいい。





失ったものの代償が どれほど大きかったってことを。








距離を置けば段々見てくるものがある。







お互いの存在とか 心。








1年では まだ甘い。





反省しても 一時的。








3年では さすがに可哀相かな。




お互い想い合っている以上。









なら その中間がいいんじゃないかって。






そこまで気持ちを維持できたら 男として認めてやる。







帰りの飛行機の中で そんなことを裁判長は言ってたっけ。










きっと まだ雑草女のこと好きなんだな。








先頭を切って NYに乗り込むとは いい証拠じゃねーか。










この際 ”雑草女を奪っちまえ!!!” って 思ったけど・・・












どっちも大切だから・・・






失いたくないから・・・







身をひくなんてさ・・・










やっぱりそういうところ、昔と全然変わんねーんだよな。
















雑草女はどうなんだろうな。








2年経ったけど・・・







相変わらず 男はいないらしい。








無理やり滋たちに 合コンに付き合わされてるて聞いてたけどさ。






「好きな男性のタイプは?」って訊かれたとき





「自分をちゃんと もってる人で しつこいぐらいに一途な人がいい」 って




言ってたらしいな。







その様子だと まだ引きずってんだろうな。








口では「あんなのとっくに忘れたわよ」なんて 強がりばかりだけど。











引きずるか・・・








多分、俺もそう。









失って 気づいた。








どんなに あの娘が大切だったかってことを。







もう会うことは ないだろうけど。







自業自得。






全てはあとの祭り。








これじゃ 猛獣とさほど変わんねーよな。













ガラス越しの向こうでは 人々が楽しそうに街中を行き交う。









俺が親に勘当されない限り 無縁な世界だ。





昔の猛獣がそうしたように 自分から その世界へ飛び込もうだなんて





俺には考えられないし、一生できないだろうな。








ひとりで苦笑していると 目の前をひとりの女がスーッと通り過ぎて行く。








おっ、いい女。









昔の癖で 思わず口笛を吹いちまいそうになった。







通り過ぎた後で 「あれ?今の」と首を傾げた俺。











まさか・・・な。








腕組みしていた俺の右手がいつの間にか 頬杖をつく。









こんなところで偶然なんてありえねーだろ?






漫画じゃねーんだからさ。








でも、そのまさかだったら・・・








どーする?











どうするって 








やっぱり 













こうするしかねーだろっ。















『おっ、お客様っ!』










俺は急いで店を飛び出し、それほど先を歩いていない その背中を追った。








クリーム色のハーフコート・・・






歩くたびに揺れる ふわふわの髪。






華奢な身体。









俺は その名を呼んだ。







数年ぶりに。








二度と呼ぶことのないと思っていた 愛しい名前を。












俺の声に気がついた彼女は スローモーションのように振り返る。











一瞬 驚いた顔をしていたが、






昔と変わらない笑顔を俺に向けて 今度は彼女の方から かけ寄ってきた。 











『お久しぶりです西門さん。





こんな所で何をしてるんですか?』











『あぁ、そこでのんびりしてた』











『うわぁ、懐かしいですね。






そういえば昔 1度だけ 連れて来てもらったことありましたよね?』












そう。









彼女も ここへ連れて来たことがあった。









あの時の俺の中では 対象外の女だったし・・・






真剣な気持ちを受け入れるなんて考えられなかった。









でも、今は違う。















『時間ある?




ひとりじゃ つまらなくてさ』












『あ・・・はい。






・・・ちょっとだけなら』















ちょっと・・・だけか・・・






彼女にとっては もう俺は”そういう存在”じゃないんだな。






胸の奥がチクリとした。














店に戻ると、店員は俺が戻ってきたことにホッとしていた。






昔 ここで働いてた店員なら そんな顔しなかったろうけど。







一番眺めのいい席に移動し、俺はさっきのものを・・・






そして彼女は いかにも甘そうな飲み物を注文した。











なんだか・・・雑草女みてーだな。











まぁ、仕方ねーか。











類は友を呼ぶ・・・















『綺麗になったね、優紀ちゃん』











牧野の親友でもあり、一度だけベッドを共にした女。









『///あ、いえ・・・そんなことないです。きっとお化粧してるから・・・///』












恥ずかしそうに 首を振る。





頬をピンク色に染めて。










綺麗になった・・・








本当にそう思ったから ストレートに言っただけ。















『最近、牧野と会ってんの?』










『いいえ。







お互い 仕事するようになってから なかなか会えないんですよ。





つくしの仕事もかなりハードみたいで』










『そっか。






で、優紀ちゃんは今 どんな仕事してるの?』












『保育士です』















『へぇ〜優紀ちゃんらしいね』














『そうですか?





毎日子供達に振り回されて 結構大変なんです。







西門さんは今度、家元襲名なんですよね?』












『なんだ、知ってたんだ』













『///えっ、えぇ・・・






テレビで観ましたから///』















俺の襲名は 予定よりも かなり早くなった。




本来なら あと1年あったのに・・・







こうしてのんびりできるのも 今のうちだけだろうな。







挨拶回りやらで、日々忙しくなるのは必至だろうから。












『もしかして これからデートなの?』








引き止めておきながら そんなことを言う俺。











『///あっ、いえ・・・その///』











ビンゴ・・・だな。















『じゃあ、あまり引き止められないよね』









相変わらずのポーカーフェイスだけど、内心 結構複雑。











『ちっ、違います。





彼とはさっき、お別れしたんです』













『さっき お別れしたって・・・』


















『西門さんに会う ちょっと前に』












・・・マジかよ。











『あぁ・・・そうだったんだ。





悪い、嫌な思いをさせて』











『そんなことないです』












別れてきた割には 結構明るそうだな。





女って ふつー目を赤くするもんじゃねーの?













『こんなときに聞くのもなんだけど・・・




もしかして彼が浮気した・・とか?』











おそらくそうだろう。






彼女は尽くすタイプだろうし。











『違います。私が悪いんです』










えっ?





思わず目を丸くする。




じゃあ、別れた原因が この娘の心変わりなのか?





どう考えても信じられねぇ。












『西門・・さん?』












『あっ、ごめん。何でもないよ』












『あのぉ・・・





その後、道明寺さんから連絡はあるんですか?』














『いや・・・全然』












『そう・・・ですか』










少し残念そうに肩を落とす。





きっと牧野のことを心配してるんだろうな、この娘も。










『今、2年の刑に服してるから』











『2年の刑?』









『あ、いや。こっちの話。




まぁ、司のことだから そのうちアクション起こすんじゃねーの?』










『そうだといいんですけどね・・・』
















RRRRRRR・・・












『あ、ごめんちょっといい?』














くそっ、こんな時に。








この前の女だ。










めんどくせーな。















『じゃあ、これで・・・』








俺に気を遣ったのか 彼女は静かに席を立つ。










『あ、ちょっと待って・・・』












彼女の手首を ぐいっと掴んだ俺。











どうして その手を取ってしまったのか・・・なんて、







俺自身がよく解ってるはずだ・・・












そこにあるのは俺の意志。








そして 揺るぎのない気持ち。















RRRRR・・・














『あ・・・の。ケータイ鳴ってます・・よ?』











彼女は 涙目で俺を見下ろしている。









あのときと同じ目だ。










もしかして 彼女の心の中に まだ俺という存在はあるのか?









そんなのは もう どうだっていい。








この手を離したら 二度と取り戻せない・・・











どうする?











どうしたい?
















親の敷いたレールにそのまま乗っていくのか?













『優紀ちゃん・・・






もうちょっと 俺の傍に居てくれる?』













自然に出た言葉・・・









口先だけではなく・・・本心から。









涙をためながら 笑顔でコクンと頷く彼女。









きっと この笑顔がもう一度見たかったんだな、俺。











この瞬間、止まったままの時計が また動き出した。











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☆あとがき☆




お待たせしましたred sign番外編。

つかつくではなく 総優です^^

2人が再会したのは本編のちょっと前です。

修正しようと思ったのですが 結局できないままUPすることにしました^^

やっぱり これはこれで いいんじゃないかと思って。

A day of the winterはただ今書いている途中なので もうしばらくお待ちください。

今回は前編です。

次回は後編になります。


もうひとつのred sign をお楽しみくださいませ^^



後編読んじゃう?

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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