sun and moon

since’06.11/25 。HP復活しちゃいました。こちらはtext blogです^^
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red sign* another story【後編〜love again〜】

►2008/06/29 10:36 

『ゆーきせんせい!




ボクがおおきくなったら およめさんにしてあげるね』












『あ〜、だめだよぉ〜!






ボクが およめさんにするんだからね!』














『りさが およめさんにするの!』











『りさちゃんは おんなのこだから 




ゆーきせんせいとは けっこんできないんだよ』













『そうだよ、そうだよ!』













『う・・・うぇ・・・』













『ほらほら、しゅうちゃんも けんちゃんも。






女の子泣かせたらダメでしょう?







先生は イジワルな男の子より 優しい男の子が好きよ』












『えー。




じゃあ、ぼく やさしくなる。





りさちゃん ごめんね』









『ごめんね、りさちゃん』












『二人ともよくできました。







りさちゃんも 許してあげてね』













『うん』











子供の同士の小さなトラブルはつきもの。






大人と違って すぐに仲直りできちゃうなんて やっぱり純粋だからかな?









けれど 純粋ゆえに 困ってしまうことがある。






時々 投げかけられる突拍子もない質問なんて特に。





















『ゆーきせんせい』












『なぁに?りさちゃん』












『せんせいには やさしくしてくれる おとこのこ いるの?』













『えっ?』











優しくしてくれる男の子・・・って。






最近の女の子は おませさんが多い。





テレビの影響もあるんだろうけど。




パパとママが ちゅうしてたって教えてくれたり、




逆に先生は 誰とちゅうするの?って聞かれたり。







普通の大人だったら 受け流してしまうだろう。






でも あたしにはそういうマネはできない。






確かに困ってしまうことはあるけど、 真っ直ぐな瞳だからこそ 




答えられるところは ちゃんと答えようと思っているから。










だから あたしは 答える。










「優しくしてくれる人が ちゃんといるよ」・・・って。
























バックの奥に光る小さな点滅に気づいたのは 駅の改札を出たときだった。








着信ありの表示に 彼女からの電話だと思った。







ちょうど明日 久々に食事に行く約束してたし。





美味しいお店 探さなきゃって張り切ってたから。






なかなか お互い休みが合わなくて・・・






ようやく・・・って感じ。










ケータイを手に取り かけなおそうかと履歴を見た途端 





道の ど真ん中で 思わず固まってしまった。











・・・///不意打ちすぎますよ///・・・












その名前が表示されたのは1ヶ月ぶり。










・・・///どっ、どうしよう///・・・










・・・///るっ、留守電も入ってる///・・・












ひとりで ドキドキして、あたふたして・・・









『ねーちゃん、邪魔だよ(怒)』










そんな声が背後から聞こえて 





通行人の邪魔になっていることに ようやく気がついた。









大きな街路樹の下へと移動した あたしは 






留守電に残されたその声を ドキドキしながら聞いた。










たった一言だけ・・・









・・・「連絡して」・・・









ただそれだけなのに 何度もリピートしてしまうなんて かなりの重症。











・・・///とっ、とりあえず、電話しなくちゃ///・・・











高鳴る胸の鼓動を抑えながら、ボタンを押そうとするけれど




なぜか指先が震える。














RRRRR・・・







コール音がこんなにも長く感じるなんて。




元彼の時は 一度もなかったのに。

















「もしもし?」












・・・///でっ、出た///・・・











鼓動がさっきよりも早くなる。









心臓の音が 相手に聞こえてしまうかと思えるほどに。













『///おっ、お久しぶりです。 ゆっ、優紀です///』













///うわっ、声が裏返っちゃったっ///














「久しぶり。元気だった?」












『///はっ、はい。元気でした。 今日も元気・・です///』










・・・///何言ってるんだ?あたしは///・・・










「ゴメンね。なかなか連絡できなくて」











『///いいえ、大丈夫です。



そのお気持ちだけで・・・///』











十分です。






ほんの少しでも そう思ってくれるだけで。










「急で悪いんだけどさ、こっちに来られるかな?」













///もっ、もしかして デートの誘いですかっ?///











『///あっ、あの・・・こっちって、どっちでしょうか?///』














「ハワイ」
















『は・・・わい?』















”はわい” って どこ?











もしかしてカクテルバーとか?






それとも 高級割烹料理のお店?





こんな風に書くのかな? ”葉和井”って。















「パスポート持ってる?」













『あ、はい・・・一応』












・・・どうして パスポートが必要なの?・・・








・・・パスポートって言ったら 海外でしょ?・・・











・・・えっ?・・・










・・・それって・・・











・・・嘘っ・・・













『は、は、ハワイですか!?本物の!?』












「そうだよ」












・・・そんなにさらりと言わないでください・・・








・・・いくらなんでも 急すぎじゃないですか?・・・












・・・でも、どうして・・・










・・・ハワイ!?・・・














戸惑っているあたしが 余程おかしかったのか クスクスと笑っている彼。










「・・・いいもの見せてあげるからおいで」














『いいものって・・・何ですか?』













「君がずっと願ってた 大親友の晴れ舞台・・・」












・・・あたしが願ってた・・・









・・・大親友の 晴れ舞台?・・・














『もっ、もしかして それって・・・』
































あの人と出逢った頃のあたしは まだ子供で・・・







全然相手にしてもらえなかった。










今思えば 恋愛対象外な存在だったんだと思う。









その彼に再会したのは 2ヵ月ほど前になる。









付き合ってた彼と別れた ちょうどあの日。













元彼と別れた理由・・・








それは・・・








お互いが嫌いになって別れたわけじゃなかった。








好きだったけど・・・







心のどこかで ”あの人”と彼を比べてしまう もう一人のあたしがいて・・・









卑怯だとは思っていても ずっと気持ちを隠してきた。








時間が経てば この想いも消えていくはず・・・






そう思ってたのに・・・








先日 家元襲名披露の日取りが決まったという ニュースを




たまたま見てしまって・・・








それ以来、そのときの笑顔が どうしても忘れられなくて





あたしの心は 日を追うごとに あの人に占領されていった。








そして・・・






とうとう抑えきれなくなってしまって




今まで隠していた気持ちを 全て彼に告白した。












彼を利用して あの人のことを忘れようとしたことも。








自分でも最低な女だと思った。










だから・・・








その日を境に 自分から距離を置いた。







もう一緒にはいられないと。







彼をずっと裏切ってきたのだから・・・












それから しばらくして 彼から電話があった。







・・・「ちゃんと区切りをつけよう」・・・










思ったよりも穏やかな口ぶりだった。











どんなことを言われようとも 



自分の気持ちに素直でありたいと あたしは思っていた。









いろんな意味で覚悟してきたのに・・・








彼は最後まで あたしを責めたりしなかった。













・・・「わかってたよ、最初から。




優紀の心には俺じゃない誰かが存在してるって。




それでも傍にいたかったんだ。




俺の方こそ 気づかないふりして ゴメンな」・・・









どこか吹っ切れたような表情で あたしの頭を撫でた彼。




 







あたしは大バカ者だ。









こんなにステキな人を・・・









それなのに・・・











「優紀が本当に想っている人と 結ばれるように祈ってるから・・・」





そう言って 地下鉄の階段を下っていった 彼の瞳は いつになく温かいものだった。









不思議と涙は出なかった。







昨夜たくさん泣いたからかな?










ゴメンなさい。










そして・・・








ありがとう。









望みのない恋を応援してくれる あなたは





あたしには もったいないぐらいの 優しい人でした。

  














それから 30分もたたないうちに ずっと想い続けてきた あの人と




偶然にも再会してしまった。









名前を呼ばれて振り返ると 懐かしい笑顔がそこにあって。









夢かと思った。










こんな偶然ってあるの?って思った。












久しぶりに会った彼は 昔と全然変わってなくて・・・






まるであの頃に戻ったような気分だった。










いろいろ話をしたけど、実は何を話していたのかすら覚えていない。









緊張しているあたしを気遣って 楽しい話をしてくれる、その優しさ。









やっぱり この人が好きなんだな〜って そう思った。



 





けれど もう一人の自分がブレーキをかけてしまう。











彼の笑顔は あたしだけの ものじゃないから。








このまま一生片想いでもいいって 思えちゃうぐらいの人だから。










別の世界で生きている人だから。










ここにいたら、もっと、もっと、って欲が出てしまう。







退屈しのぎに誘われたのだから それ以上を求めてはいけない。









大人になって ようやく解った。







高校生だった あの頃には 見えなかった大人の事情。














・・・適当に理由を作って もう 帰ろう・・・











そう思ってた矢先 彼のケータイが鳴った。











なんだか気まずそうだったから 







きっと この後、電話の相手と会うんだろうなって 自分なりに解釈した。









なのに。








叶わない恋だと解っているのに 







他の誰かの存在に 傷ついてしまっている自分がいて。










もう何もかもが矛盾だらけで。








そんな自分が嫌になった。














居たたまれず 立ち上がると 






彼の大きな手は ケータイを選ばずに あたしの手を取った。











まだ ケータイは鳴り続けている。










「あ・・・の。ケータイ鳴ってます・・よ?」










・・・どうして 出ないんですか?・・・






・・・気を遣わなくてもいいんですよ?・・・





・・・もう 昔のように追いかけたりはしませんから・・・










彼に気持ちを悟られないように 





涙を堪えて 平常心を装って。













「優紀ちゃん・・・






もうちょっと 俺の傍に居てくれる?」












そう言った彼の目が 子供達と同じぐらいに純粋な目をしてて。











この瞬間 あたしの心の信号が青に変わってしまった。























あの電話から 十数時間後、










親友の幸せな顔を見るために・・・








この世で一番美しい笑顔を見るために・・・








あたしは 機上の人となった。










本当はね、彼女に会ったら 新しい恋の報告をしようと思ってたんだ。





とてもステキな恋をしているんだと。








でも。









その話はもうちょっと先になりそう。







今は彼女の幸せを一緒に味わいたいから。











この飛行機が到着するのは おそらく夕方になるかもしれない。









間に合うかな・・・












日本とハワイの時差は凡そ19時間。








ほんの少し1日を逆戻りできる貴重な体験。











はやる気持ちを抑えながら、あの人がくれたリングにそっと触れてみる。









こうして触れているだけで あの人が傍にいるようで・・・温かい気持ちになる。











電話を切ろうとしたあたしに 「ちょっと待って」と呼び止めた。











それは 今まで生きてきた中で 一番嬉しかった言葉・・・








心の奥にジーンと響くような 甘いささやき・・・









その彼に逢えるのも あと数時間後・・・








どんな顔であたしを迎えてくれるのかな?・・・









あの人のことだから 隣りに綺麗な女性(ひと)がいたりして・・・











それでもいい・・・












それでも あなたが好きだから・・・













・・・「早く君に逢いたいよ」・・・











あたしも 早くあなたに逢いたいです。













西門さん。


















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☆あとがき☆


red sign* another story【後編〜love again〜】 読んでくださってありがとうございまする^^
今回は優紀sideでした。
こちらも前編同様 そのままUPです。
変なトコ・誤字脱字のちほど修正予定です。
優紀がつくしの結婚式に駆けつけてくるまでのお話です。
いつのまにいい雰囲気になっちゃったの?っていう裏話と申しましょうか^^
そーじろーが結構本気モードなんですけど、
優紀の方はまだ自分は多くの中の一人っていう感覚。
この曖昧さ・・・通じましたでしょうか?

どちらかというと・・・
やっぱり男性目線が一番好きですね^^
特にそーじろーは書きやすいです。

【キスの温度の番外編・書き下ろし☆ぴんく・わふく・あくび男衆の巻】は書いてて
一番楽しかったです^^
よく読んでみると「あきら視点」なんですよね。
さっき読んで気づきました^^;(遅すぎっ!)
女の子目線はうまく表現できなくて四苦八苦です。


いつも愛のポチをありがとうです^^
拍手がゼロという日がないので本当に嬉しいです。


ぱぱとままとぴか・・・何気なく好評です。
HPでは ぴかちゃんが書いたような字でUPさせていただいておりまする^^
ブログの書体とは違いますので また楽しめるかと^^


それでは^^

しゃお☆しゃおでした^^

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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red sign* another story【前編〜signal〜】

►2008/06/26 16:05 

『この辺でいいや』









そう告げると 車は少し先にある花屋の前で静かに停まった。








「迎えはいいから」と言い残したものの・・・








さて これからどーするかな。














今日は休日だというのに 珍しく茶会もなくて・・・







久しぶりに遊んでやろうと意気込んでたのに・・・








あきらのやつ・・・




俺の誘いを ひとつ返事で断りやがった。








長年の親友である俺よりも 




おととい知り合った女の方が大事なんだとさ。








ケータイ越しに聞こえる甘い声に うんざりしちまって




「じゃあな」と切ったのは 10分ほど前。








相変わらずの女好きで ホント呆れちまう。













って。









俺も人のこと とやかく言える立場じゃねーんだけど。














最近 忙しすぎて 遊びの「あ」の字すら忘れてた。







遊びまくってた あの頃がすげー懐かしい。








いつも誰かが一緒だったから ひとりで過ごした記憶がほとんどない。


















ケータイの電源は・・・






う〜ん・・・








一応、入れておくか。














いちいち こんなことしてる俺って・・・







案外 寂しがりや?














しばらく 街をブラブラして ふと立ち止まる。








久しぶりだな。







何年ぶりだ?












”昔の女たち”と よく待ち合わせしてたカフェ。












一期一会・・・か。













あの頃の口説き文句・・・










しばらく使ってねーな。












時計を見ると まだ時間は たっぷりとある。







とりあえずここで あの頃の想い出に浸ってみるのもいーかもな。
















ブルマンをオーダーした後、周りを見渡せば・・・







みんな連れがいる女ばかり。










男がいようとも・・・






俺には関係ないんだけどさ。












でも。










今日はそんな気分じゃない。













家を出る前に 母親に押し付けられた写真の山。











どれでもいいから選べってさ。









どれでもいいからって言われてもな。








どんな女を選んでも 所詮 好きな女じゃない。







人と結婚するんじゃない。







家同士が結婚するんだ。









そんなこと ずっと昔からわかっていたはずのに






いざとなると 多少なりとも抵抗しちまう。









当たり障りなく、やんわりと。










「じっくりと 検討させていただきます」ってね。
















大学を卒業して 俺達 ジュニアはそれぞれの道を歩むことになった。







あんな調子だけど かなりのやり手らしい あきら。









とうとう親父さんの後釜に納まるらしい のんびりやの類。










そういえば・・・もうひとり いたな。










NYから 未だに帰って来ない猛獣みたいな奴が。







雑草女と別れた途端、連絡が途絶えた。








まぁ、類の”あの一言”が効いたんだろうけど。










2年か・・・










2年ねぇ・・・











そろそろ限界じゃねーの?










2年の実刑ってやつは。

















そして自称・雑草の女・・・







最近全然会ってねーけど 元気かな?







大手の旅行会社で頑張ってるって 滋から聞いて安心したけどさ。








猛獣と別れた頃 かなりボロボロだったからな。








俺達3人がNYに押しかけたことは 一切話していない。







話したところで 何も変わらないし、雑草女が傷つくだけだしな。













「何で2年?」って 実刑判決を下した裁判長に聞いてみたら






「う〜ん、なんとなく?」だってさ。












ただ、すぐに縒りを戻させるには早すぎる。






どれだけ 相手を傷つけたか 被告人は 身をもって知った方がいい。





失ったものの代償が どれほど大きかったってことを。








距離を置けば段々見てくるものがある。







お互いの存在とか 心。








1年では まだ甘い。





反省しても 一時的。








3年では さすがに可哀相かな。




お互い想い合っている以上。









なら その中間がいいんじゃないかって。






そこまで気持ちを維持できたら 男として認めてやる。







帰りの飛行機の中で そんなことを裁判長は言ってたっけ。










きっと まだ雑草女のこと好きなんだな。








先頭を切って NYに乗り込むとは いい証拠じゃねーか。










この際 ”雑草女を奪っちまえ!!!” って 思ったけど・・・












どっちも大切だから・・・






失いたくないから・・・







身をひくなんてさ・・・










やっぱりそういうところ、昔と全然変わんねーんだよな。
















雑草女はどうなんだろうな。








2年経ったけど・・・







相変わらず 男はいないらしい。








無理やり滋たちに 合コンに付き合わされてるて聞いてたけどさ。






「好きな男性のタイプは?」って訊かれたとき





「自分をちゃんと もってる人で しつこいぐらいに一途な人がいい」 って




言ってたらしいな。







その様子だと まだ引きずってんだろうな。








口では「あんなのとっくに忘れたわよ」なんて 強がりばかりだけど。











引きずるか・・・








多分、俺もそう。









失って 気づいた。








どんなに あの娘が大切だったかってことを。







もう会うことは ないだろうけど。







自業自得。






全てはあとの祭り。








これじゃ 猛獣とさほど変わんねーよな。













ガラス越しの向こうでは 人々が楽しそうに街中を行き交う。









俺が親に勘当されない限り 無縁な世界だ。





昔の猛獣がそうしたように 自分から その世界へ飛び込もうだなんて





俺には考えられないし、一生できないだろうな。








ひとりで苦笑していると 目の前をひとりの女がスーッと通り過ぎて行く。








おっ、いい女。









昔の癖で 思わず口笛を吹いちまいそうになった。







通り過ぎた後で 「あれ?今の」と首を傾げた俺。











まさか・・・な。








腕組みしていた俺の右手がいつの間にか 頬杖をつく。









こんなところで偶然なんてありえねーだろ?






漫画じゃねーんだからさ。








でも、そのまさかだったら・・・








どーする?











どうするって 








やっぱり 













こうするしかねーだろっ。















『おっ、お客様っ!』










俺は急いで店を飛び出し、それほど先を歩いていない その背中を追った。








クリーム色のハーフコート・・・






歩くたびに揺れる ふわふわの髪。






華奢な身体。









俺は その名を呼んだ。







数年ぶりに。








二度と呼ぶことのないと思っていた 愛しい名前を。












俺の声に気がついた彼女は スローモーションのように振り返る。











一瞬 驚いた顔をしていたが、






昔と変わらない笑顔を俺に向けて 今度は彼女の方から かけ寄ってきた。 











『お久しぶりです西門さん。





こんな所で何をしてるんですか?』











『あぁ、そこでのんびりしてた』











『うわぁ、懐かしいですね。






そういえば昔 1度だけ 連れて来てもらったことありましたよね?』












そう。









彼女も ここへ連れて来たことがあった。









あの時の俺の中では 対象外の女だったし・・・






真剣な気持ちを受け入れるなんて考えられなかった。









でも、今は違う。















『時間ある?




ひとりじゃ つまらなくてさ』












『あ・・・はい。






・・・ちょっとだけなら』















ちょっと・・・だけか・・・






彼女にとっては もう俺は”そういう存在”じゃないんだな。






胸の奥がチクリとした。














店に戻ると、店員は俺が戻ってきたことにホッとしていた。






昔 ここで働いてた店員なら そんな顔しなかったろうけど。







一番眺めのいい席に移動し、俺はさっきのものを・・・






そして彼女は いかにも甘そうな飲み物を注文した。











なんだか・・・雑草女みてーだな。











まぁ、仕方ねーか。











類は友を呼ぶ・・・















『綺麗になったね、優紀ちゃん』











牧野の親友でもあり、一度だけベッドを共にした女。









『///あ、いえ・・・そんなことないです。きっとお化粧してるから・・・///』












恥ずかしそうに 首を振る。





頬をピンク色に染めて。










綺麗になった・・・








本当にそう思ったから ストレートに言っただけ。















『最近、牧野と会ってんの?』










『いいえ。







お互い 仕事するようになってから なかなか会えないんですよ。





つくしの仕事もかなりハードみたいで』










『そっか。






で、優紀ちゃんは今 どんな仕事してるの?』












『保育士です』















『へぇ〜優紀ちゃんらしいね』














『そうですか?





毎日子供達に振り回されて 結構大変なんです。







西門さんは今度、家元襲名なんですよね?』












『なんだ、知ってたんだ』













『///えっ、えぇ・・・






テレビで観ましたから///』















俺の襲名は 予定よりも かなり早くなった。




本来なら あと1年あったのに・・・







こうしてのんびりできるのも 今のうちだけだろうな。







挨拶回りやらで、日々忙しくなるのは必至だろうから。












『もしかして これからデートなの?』








引き止めておきながら そんなことを言う俺。











『///あっ、いえ・・・その///』











ビンゴ・・・だな。















『じゃあ、あまり引き止められないよね』









相変わらずのポーカーフェイスだけど、内心 結構複雑。











『ちっ、違います。





彼とはさっき、お別れしたんです』













『さっき お別れしたって・・・』


















『西門さんに会う ちょっと前に』












・・・マジかよ。











『あぁ・・・そうだったんだ。





悪い、嫌な思いをさせて』











『そんなことないです』












別れてきた割には 結構明るそうだな。





女って ふつー目を赤くするもんじゃねーの?













『こんなときに聞くのもなんだけど・・・




もしかして彼が浮気した・・とか?』











おそらくそうだろう。






彼女は尽くすタイプだろうし。











『違います。私が悪いんです』










えっ?





思わず目を丸くする。




じゃあ、別れた原因が この娘の心変わりなのか?





どう考えても信じられねぇ。












『西門・・さん?』












『あっ、ごめん。何でもないよ』












『あのぉ・・・





その後、道明寺さんから連絡はあるんですか?』














『いや・・・全然』












『そう・・・ですか』










少し残念そうに肩を落とす。





きっと牧野のことを心配してるんだろうな、この娘も。










『今、2年の刑に服してるから』











『2年の刑?』









『あ、いや。こっちの話。




まぁ、司のことだから そのうちアクション起こすんじゃねーの?』










『そうだといいんですけどね・・・』
















RRRRRRR・・・












『あ、ごめんちょっといい?』














くそっ、こんな時に。








この前の女だ。










めんどくせーな。















『じゃあ、これで・・・』








俺に気を遣ったのか 彼女は静かに席を立つ。










『あ、ちょっと待って・・・』












彼女の手首を ぐいっと掴んだ俺。











どうして その手を取ってしまったのか・・・なんて、







俺自身がよく解ってるはずだ・・・












そこにあるのは俺の意志。








そして 揺るぎのない気持ち。















RRRRR・・・














『あ・・・の。ケータイ鳴ってます・・よ?』











彼女は 涙目で俺を見下ろしている。









あのときと同じ目だ。










もしかして 彼女の心の中に まだ俺という存在はあるのか?









そんなのは もう どうだっていい。








この手を離したら 二度と取り戻せない・・・











どうする?











どうしたい?
















親の敷いたレールにそのまま乗っていくのか?













『優紀ちゃん・・・






もうちょっと 俺の傍に居てくれる?』













自然に出た言葉・・・









口先だけではなく・・・本心から。









涙をためながら 笑顔でコクンと頷く彼女。









きっと この笑顔がもう一度見たかったんだな、俺。











この瞬間、止まったままの時計が また動き出した。











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☆あとがき☆




お待たせしましたred sign番外編。

つかつくではなく 総優です^^

2人が再会したのは本編のちょっと前です。

修正しようと思ったのですが 結局できないままUPすることにしました^^

やっぱり これはこれで いいんじゃないかと思って。

A day of the winterはただ今書いている途中なので もうしばらくお待ちください。

今回は前編です。

次回は後編になります。


もうひとつのred sign をお楽しみくださいませ^^



後編読んじゃう?

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A day of the winter 7 (書き下ろし)

►2008/06/22 08:41 

牧野が写真立てを取り上げた後、





俺は滅多に入らないこの部屋を 何気なく見渡していた。










銀色。










おそらく ”ある束”から欠けたもの。





畳の上に落ちていた それを掌に乗せると 





市販のものではないことに気がついた。














そして・・・






古びたチェストの上に置いてある 安物のカゴの中に 





白い小さな紙袋を見つけた。










-----牧野つくし様

















3日前、仕事先までの移動中 




俺はいつものように 書類に目を通していた。






否が応でも そうせざるを得ない現実を 日々、受け止めながら。








大通りでの信号待ち。







交差点では 感情むきだしの クラクションが鳴り響く。







平日だというのに やたらと人が多い。







道も 渋滞し さっきから あまり進んでない。







苛立っても仕方ないから 連なる文字を端から端まで目を通す。 








そんな中、運転手の沢井が 小さな声をあげた。












「どーした?」










沢井を見ることもなく、書類をめくる。













「あ、いえ・・・」











話すのを躊躇しているのか、その先を言おうとしない。





俺が話しかけない限り、ひたすらハンドルに全神経を集中させる男だ。






その男が運転中に声を発することは 皆無に等しい。










「沢井?」









ミラー越しに 切れ長の目を じっと見つめると 




沢井は観念したように首を振り、口を開いた。












「多分・・・



私の見間違いだと思いますので、どうか聞き流してください」










「わかった。



で、何?」











「今、すぐそこの建物から・・・」










「建物?




それが どうかした?」














「牧野様が出ていらっしゃいました・・・」











「牧野が?」












「あ、いえ、本人だとはハッキリ申し上げられないのですが・・・






あの横顔は おそらく・・・」











沢井が見ている方に ゆっくり視線を移すと





ビルとビルの間に挟まれた それほど大きくはない白い建物が そこにあった。









掲げてある看板を見て 今度は俺の方が小さな声をあげた。









すると沢井は、 






「やはり、私の見間違いです。 似たような方は 沢山いらっしゃいますから」と





必死に弁明する。










が、しかし・・・









記憶力と洞察力が 抜群の男だ。









見間違えるなんて ほぼ ありえないだろう。








第一、牧野とは何度も顔を合わせているのだから。








そこは病院だった。










もしかして 誰かの見舞い?








それとも バイト?












おそらく前者、後者 共にありえないだろう。









入院するような設備もなさそうだし、バイトを雇うような病院ではない。












じゃあ、どうして牧野がここに?















胸騒ぎがする。









そして・・・








例えようもない 見えない何かが ズシリと俺の心に圧し掛かった。
















「沢井」













「はい、畏まりました」

































『///ほら、いつまでもそんなところに立っていないで、早く座って///』












まだ そこにいた俺は牧野に急かされ コタツに戻った。







こうして見ていると いつもの牧野だ。








けど、それは表面上であって 






心にどんな暗い闇を抱えてるのか 計り知れない。







銀色は俺のポケットの中。






コタツの中で そっとポケットの上からそのカタチに触れる。






あの時の胸騒ぎは 現実のものとなり、今こうして存在する。








病院に足を運ぶのは 余程のことだったはずだ。






医者嫌いで、いつも自然治癒で乗り切ってきた牧野なのだから。







ましてやメンタルクリニックなど。









沢井の話によると すでに3度目の通院だという。






個人保護法とかで病院側は なかなか口を割らなかったらしい。






沢井があらゆる手段を使ったのだろう。









涼しい顔をしながらも やることは いつも大胆だ。







運転手である前に 俺の頼もしい右腕。















俺にコーヒーを出した後、日本茶ををすすっていた牧野。







恐らくある程度のカフェインを控えているのだろう。







薬を服用している者なら 医者などから注意を受けているはずだから。
















喜怒哀楽。





感情全てが 作り物だと解ってしまった今・・・










守ってやりたくなる。








抱きしめたくなる。










ずっと抑えていた感情に流されそうになる。










こうなってしまった原因は ただひとつしか考えられない。






牧野を追いつめたもの。








それは・・・













今の牧野には酷かもしれないと思ったが






二人の関係を問いただした。









やはり あきらたちが昼間言っていたことは本当だった。










約束の4年が過ぎ、一向に帰ってくる気配もない あいつ。












知らなかった。










二人はうまくいってるはずだと思っていたから。









だから・・・・








近づかなかった。









近づけなかった。









近づいたら 理性を抑えられそうにもなかったから。











なのに・・・






どうして大切にしてやらない?







どうして安心させてやるような言葉をかけてやらない?








見損なったよ、おまえには。









いくら長年の親友だとしても。









ここまで牧野を追いつめたあいつを 俺は許さない。












『後悔先に立たず』















『えっ?何?』











『ううん、別に。たいしたことじゃない』













『なんか、気になるな』










牧野は首を傾げ またお茶をすする。










こんな時に 口にするのは卑怯だと思う。






相手の隙をつくような その言葉を。







だからこそ今、それを口にする。









------つきあおうか、俺たち






・・・と。

























あれから牧野とは 会っていない。







俺は俺で 海外での仕事に 多忙を極めていたから。







卒旅の連絡が入ったのは 殺人のような仕事に疲れ果て




死んだように眠っていた明け方の頃。








俺の返事は 寝ぼけながらも YES。










フランスにいることは伝えてあったが 





滞在を1日繰り上げて、すでに 現地に到着してるなんて





さすがのあきらも気づかないだろう。












あの日の牧野は 逃げきれないと思ったのか





仲間達には勿論のこと、あいつにも 






このことは絶対に公言しないという条件付きで 





そんなには遠くない過去を 振り返るように 淡々と語り始めた。 












--------心身症。









聞いたことはあった。








しかしそれがどういうものなのか、牧野に聞くまで知ることはなかった。








牧野の場合、精神的なもの・・・








つまりストレスが身体に影響を与えると言うものだった。









今は薬で眠っているという。









いわゆる睡眠障害。









そして拒食症の一歩手前。









そこまで精神的に 追い詰められていたとは・・・







これが夢だったら・・・と聞いている間 何度そう思ったことだろう。









牧野は決して あいつのことを責めたりはしなかった。








病院に通うようになってしまったのは 





全て自分の心が弱いせいだからと言った。







そして 遅くまでバイトをしてるのも 精神状態を安定させるため・・・だと。








心の闇を知った今、俺にできることは ただひとつ。













だから・・・











俺は ここにやって来た。














『こっ、困ります、花沢様っ』









秘書のひとりが アポ無しで来た俺を どうにか追い返そうと





小走りに後からついてくる。








SPも各フロアーに配置しているが、顔見知りの奴らばかり。









そう簡単には 手出しはしないだろう。








まさか こんなところにいるとは・・・な。









てっきり 新社屋の最上階にいると思ってたんだけどね。








事前に ねーちゃんに確認して正解だった。








さぁ、どこからでも出て来い。








どんな顔で出迎えてくれるんだ?










後悔先にたたず・・・









その意味を知らない おまえに じっくり教えてやるよ。











今更、言い訳なんて 俺には通用しないからな。












宣戦布告だ、司。












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☆あとがき☆

今回も書下ろし、RUI sideです^^
やはり本編が未熟だったせいか、物足りなさを感じ 書き下ろすことにしました。

内容も多少は変わりそうです。
つまり、本編とは別のお話になってしまいそうです。
ある意味、しゃお☆しゃおの新連載のようなものです。

ここで 上手くまとめないと・・・
続編の〜いつもふたりで〜に繋がらなくなってしまうかも^^;
大変だぁ〜≡ヽ(;´д`)ノひ〜っ


そうそう、類は市販の薬を知ってますよ。
しゃお☆しゃおの妄想では・・・なんですけどね(笑)。


誤字脱字のちほど修正しまする・・・多分^^;


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長めなおはなし・A day of the winter | Top ▲

A day of the winter 6

►2008/06/19 09:59 

それは突然の・・・・







思いもよらない一言に・・・






頭の中が真っ白になった。












「そんな顔 もう見てられない」










苦しそうに。





切なそうに。








吐き出すように 類は言った。








まるで 自分が つくしの立場であるかのように。











「俺のこと利用してくれても 全然構わないと思ってる」













「構わないって・・・何よ、それ。 





利用するとか しないとか・・・







意味が解らない・・・」












「言ったとおりだよ。





今は無理でも ちゃんと考えて欲しい」














「ちょっと待って、花沢類。






考えて欲しいって言われても あたしは・・・・・」














「司と付き合ってる・・・だろ?







でも 本当に今のままでいいの?







それで 牧野は幸せ?」












穏やかな中にも 棘がある その物言いに




つくしは 怯んでしまう。









「どうなの?胸張って幸せだって言える?」














「・・・幸せ・・だ・・よ」








か細い声で。







今にも零れ落ちそうな涙をぐっと堪えながら そう答えた。











「それは 本心?」










更に類は追い討ちをかける。










「本心とか、本心じゃないとか・・・




花沢類には関係ないでしょ」











つくしは いたたまれず 立ち上がり 背を向けた。






その反動で コタツに寄り添うように 立てかけてあった





つくしのバッグがパタリと倒れた。








そこからケータイや財布たちが顔を出す。











「関係あるよ」











感情的なつくしとは 比べ物にならないぐらい 類は冷静だ。






相手が冷静であればあるほど 




つくしは興奮している自分が嫌になった。






(感情的な女なんて 惨めなだけだ)













「好きな女が苦しんでいるのを 黙って見てるほど 俺はバカじゃない」















「何・・・言ってるの」














「おまえのことが好きだって言ってる」










その一言で つくしの心の時計が止まる。











「・・・・もう、冗談ばっかり」









顔を強張らせ つくしは笑った。











「冗談で こんなこと言えるわけないだろ」












「嘘っ。




あたしが かわいそうな女だって思ったから 






急にそんなこと言い出したんでしょ?」
















「牧・・・・・野?」















「あたしみたいな一般庶民には シンデレラ ストーリーなんてありあえないって





あいつみたいに 類だってそう思ってるんでしょ?」











「あいつ?」













「シンデレラストーリーなんて あたしには関係ない。






好きになった相手が たまたま すごいお金持ちだっただけよ。





地位も名誉なんて欲しくない。





ただそれだけなのに・・・












花沢類も卑怯だよ。





あたしの心が弱ってる時に 付き合おうだなんて・・・





いくらなんでも 無神経すぎるよ」












「牧野」














「世間ではね 捨てられた女になってるんだって・・・笑っちゃうよね」










「俺はそんな風に 思っていない」











「あたしのことなんか どうだっていいの。





もう放っておいて!





同情なんていらな・・・」













軽い音が宙を舞った。







それは一瞬の出来事だった。








初めは何があったのか わからなかったつくしだったが、




ジワリと後から 頬に痛みが走った。














「いい加減にしろ。





俺は同情で付き合えるほど暇じゃない」












真っ直ぐに見据えた薄茶のビー玉に つくしの大きな瞳が揺れた。









類はふぅっと息を吐くと・・・







「叩いたりして ゴメン。






痛かっただろ?」










少しだけ赤くなった左頬に そっと触れた。






つくしは冷静を取り戻したように 首を横に振った。











「ねぇ、牧野。






付き合うとか 付き合わないとか その前に 





本当のこと教えて?」














「本当の・・・こと?」












「そう、本当のこと」














「あたし・・・





別に隠し事なんて・・・」










そう言いかけて つくしは目を見開いた。










類の掌に のせられた ”それ”。











一番見られたくなかったもの。






一番知られたくなかったもの。








おそらくバッグ中から 飛び出してしまったのだろう。







つくしは息をのんだ。













「ちゃんと説明して?牧野」
































『・・・・・・ねぇ、そう思わない?つくしちゃん』













『・・・・・・・・・・』












『つ・く・しちゃん?』











『えっ?



あっ、そうですね。私も そうだと思います』












考え事をしていたつくしは





ここで交わされている会話など




全くと言っていいほど聞いていなかった。








適当に相槌を打ち、そして微笑む。






今のつくしに できる精一杯。













『でしょう?





ほら、類 つくしちゃんも そう言ってるじゃない』















テーブルには贅沢な料理が所狭しと並び、




ほろ酔い気味の滋と桜子が楽しそうに笑っている。








焼きたてのステーキをつまみのように頬張る姿は




大河原家のご令嬢とは思えないほど。









その奥では あきらと 総二郎が 



日本にいる”彼女たち”にラブコール中。







日本と さほど変わらないように思えた。







ただ違うのは 時々交わされる異国の言葉だけ。











食欲なんて ない。








見ている分にはいいのだが、実際 口にすると気分が悪くなる。






仲間達と食事をした時も、途中退席することが何度かあった。






自分の異変に気づいたのは しばらく前になる。







ふとしたことで それを類に知られてしまったのだ。








知られたくなかった。







ずっと秘密にしておきたかった。











だから 卒業旅行に来るのは正直 気乗りがしなかった。








事実を知られてしまった以上 類と顔を合わせるのが 





なんとなく気まずかったからである。











けれど、そう思っていたのは つくしだけだったようで





類は至って普通に接してくる。








あの真夜中の出来事が 夢だったのでは? と思えてしまうほどに。











ほのかに 甘い 大人の香り。









まだ 口にしていない グラスを見つめ そしてくちびるを寄せる。











けれど 口元に届くことはなかった。










なぜなら・・・







綺麗な指先がスッと それを取り上げたのだから。










ふと見上げると 何食わぬ顔をした類が つくしから取り上げたワインを飲んでいる。









きょとんとしている間に グラスの中の液は消え、





「ごちそうさま」 と ニッコリ笑って 小さな手に返した。













『もう、類ったら お行儀が悪いわよ』









『だって 喉カラカラだったし』










『まったく、あなたって子は。





ゴメンなさいね、つくしちゃん』










『いいえ、もうやめようと 思ってたので 助かりました』









『あら、もうストップなの?




まぁ、無理強いはしないけど。




なんなら 私と同じもの用意させる?』











『もう、おなか一杯なので 遠慮します』











『そう。欲しくなったらいつでもどうぞ』









『ありがとうございます』













『それはそうと・・・







類、あなた雰囲気変わったんじゃないの?』













『そう?』














『はは〜ん、さては・・・




好きな娘でも できた?』














『さぁね』



















『さぁね・・・って。





あぁ!わかったわ。 




この前 お見合いさせられたって聞いてたけど





もしかして そのお嬢さん?』












『見合いなんて してないよ。






会食があるって連れて行かれて、






結局は見合いだっていうから そのまま帰ってきた』










『まぁ。



くすっ。 そういうところは変わってないわね』










『そりゃ どーも』










しばらく 椿の質問攻めは続き 類も苦笑しながらも それに答えていた。












『あ・・・あの・・・』










和やかな雰囲気に水をさすのは 気が引けたのだが 





つくしは 椿に声をかけた。











『どうしたの?つくしちゃん』












『パウダールームは・・・どこでしょうか?』












『あぁ、それなら ここを出て左よ。






大丈夫?







顔色が優れないみたいだけど』











『多分 まだ時差ぼけが直ってないんだと思います。






少し休んだら 戻ってきますので』












違う。








時差ぼけ なんかじゃない。








今にも 自分の身体が倒れそうになったからだ。






やはり適度に食事を摂っていないのが原因だと つくしは思った。








ここで 倒れたら せっかくの楽しいパーティーを台無しにしてしまう。







それなら、いっそ今のうちに ここを出ようと思ったのだ。













『そう、あまり無理しないでね』












『はい』















つくしの背中が見えなくなると 椿は小さなため息をもらした。










『本当に辛い想いをさせちゃってるのね。





あんなに無理して・・・




あんなに痩せて・・・







類から 前もって連絡もらって良かったわ』













『頼れるの ねーちゃんしか いなかったし』
















(・・・好きなのね、つくしちゃんのこと。




司、あんたグズグズしてたら あっという間に取られちゃうわよ)











『ねぇ、詳しいこと聞かせてくれる?





ここではなんだから 奥の部屋に行きましょう』












その時だった。














『つっ、椿様 大変です!』











ホテルの従業員の女が 息を切らし 慌てた様子で入ってきた。









その声が尋常ではないと気づき 椿と類が「まさか・・・」と顔を見合わせた。











『どうかしたの?』















『まっ、牧野様が、牧野様が』

















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あとがき


なかなか更新できなくてゴメンなさいです^^;
完結済みのお話と路線が少し変わってきたので UPするべきか、かなり悩みました。
このお話は しゃお☆しゃおが新たに 昨日の深夜に書きおろしたものです。。
実際にはふたりの会話は登場してこないので あえて書いてみようと思いました。


はちゃめちゃなストーリーになってしまいましたが お許しを。
これをどう修正していくかは 今後の課題です。

まだ あの方が出てこないので ご不満なリーダー様も多いかと思いますが
あともうちょっとなので 気長にお待ちくだされば・・・と思っています。


誤字脱字、変なトコ・・・あとで直しまする^^





続き読んじゃう?

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長めなおはなし・A day of the winter | Top ▲

A day of the winter 5

►2008/06/15 09:34 

『あのぅ・・・



聞いても・・・よろしい・・・でしょか?』









俯きがちに眉をひそめ、たどたどしく。












『あら、やだ・・・随分堅苦しいのねぇ』









『すっ、すみません』










『どうして謝るの?おかしな つくしちゃんね^^





で、聞きたいことって なぁに?』













『あの・・・その・・・





ココ・・・って・・・





日本です・・よね?』










笑われる覚悟で聞いているその表情は 少しだけ硬い。






自分の中に芽生えた疑念を必死に抑えながら。








-----何言ってるの?当たり前じゃない-----








つくしは肯定の言葉を待った。











『つくしちゃんたら 寝ぼけちゃってるのかしら。




あっ、もしかして時差ボケ?





まぁ、そーいうところがカワイイんだけど』










くすっと笑って 形のいい つくしの頭を優しく撫でる。












『あのね、つくし。




 ここは日本じゃなくて NYだよ』










(えっ・・・)










その明るい口調に動きが止まる。







思考も。







心も。








何もかも。










まさか、まさか・・・







疑念の”まさか”の壁が音を立てて崩れていく。















『ねっ?





一味違った ミステリーツアーだったでしょ^^』














滋が嬉しそうに何かを話しているけれど、




それさえ つくしの耳には入ってこない。













『おい、牧野・・・しっかりしろ』










あきらが 呆然としている その肩を軽く揺さぶると・・・













『そんな・・・






ここがNYだなんて・・・嘘だよね?





おねえさんも滋さんも冗談きついよ』











震える声。






どくん、どくん・・・・









心臓の音がやけに 騒々しい。














『先・・・輩?』












『アハハ・・・




あたしの頭・・とうとう おかしくなちゃったみたいだ・・・





夢と現実の区別がつかないなんて・・・』












両手を顔にあて 自嘲気味に笑った。










(--------道明寺中毒も ここまで来たら終わりだ)
















『夢じゃないのよ?





確かに、突然のことでビックリさせちゃったみたいだけど、





あなたのことを思って みんながここまで連れてきてくれたのよ?』












『・・・・あたしの・・ことを?』











『そうよ。






司が日本になかなか帰れないから、業を煮やした あきら、総二郎・・・みんなが





あなたを想って連れて来てくれたの。







よく来てくれたわね、つくしちゃん。





昨夜はあまりにも嬉しすぎて 全然眠れなかったのよ』












相変わらずの美貌と、衰えることのない溢れんばかりの愛情。






数年ぶりの再会に 大粒の涙をこぼしながら 



俯き身を固めたままの つくしを優しく抱きしめる恋人の姉・・・椿。














『つくしちゃん・・・







本当にいろいろと ごめんなさいね』












いろいろと・・・






きっと あの噂の婚約者のことを言っているのだろう。






そして未だに帰国できない弟のことも含めて。











つくしは ただ黙って首を横に振る。











『とても言いにくい事なんだけど・・・





今、大きなプロジェクトを抱えているみたいで、




まだ日本に帰れそうもないらしいのよ。




それでね・・・』









感情のどん底に陥らせないように・・・





言葉を選びながら話す椿の横顔が つくしには ぼんやりと見える。










『・・・そうですか』











『ゴメンなさいね。




姉の私が代わりに謝るわ、このとおり』










『やめてください。





おねえさんが謝ることないんです。




あたし、解ってますから。





ちゃんと解ってますから。




だから 顔を上げてください』










心配かけないように。








負担にならないように。










理解ある彼女を また演じてしまう。










それは自分でも解っていた。








けれど演じずにはいられなかった。








椿はとても優しい人だから。














『つくし・・・ごめんね、勝手なことしちゃって。




あたしが言い出したの。





文句ひとつ言わず待っている つくしを見ているのが





本当に辛くて・・・





だから・・・あたし・・・』











『ううん、いいの。





気遣ってくれて ありがとう、滋さん。




あたしこそ、心配かけちゃってたんだね。





みんな ごめんね』










精一杯の気持ちで そう言った。












けれど・・・











嬉しさを うまく表現できずに 





ただ笑みを浮かべるだけしかできなかった。

































(どうしてだろう・・・・)









あんなにも恋しかったNYだというのに、




実際来てみると 不安の方が先立っている。








(迷惑ではないだろうか・・・)









(そして・・・)






(ルール違反ではないのだろうか・・・)








(日本で待っていると あの日約束したのに・・・)







(どんな理由にせよ あたしは来てしまった)










N.Yの夜の街並みが クリスマスのイルミネーションのように見える。






それはまるで幻想的な世界。







ミステリーツアーと称された NYへの旅。







ここへ来たという実感が まだ湧かない。







まるで夢の続きのような気がして 



ここへ来る前に 冷たい水で何度も顔を洗った。









けれど、今あるのが現実。








ガラス越しに映る 胸元の「カタチ」にそっと触れてみると





あの甘いコロンが漂った気がした。















こうしてN,Yを訪れるのも 今回で2度目になる。










何も言わず渡米した司を追いかけた・・・つくし。










全てを守るために つくしを拒絶した・・・司。









そして・・・







そんなつくしが気がかりで N.Yまで迎えに行った・・・類。










それぞれの想いが錯綜した想い出の地。








拒絶された あの時の気持ちが 





トラウマとして 心の根底に眠っているということを






つくし自身 まだ気づいていない。














『どう、楽しんでる?』









穏やかな声が背後から聞こえ ゆっくり振り返ると 





シックだけれど いかにも彼女らしい色あいのドレスに身を包んだ





椿が微笑を浮かべていた。












『あぁ、やっぱり このドレスを選んで良かったわ。





つくしちゃんの肌が すごく際立って見えるわよ。






後ろのこのリボンもアレンジさせて正解ね。





あ、でも ちょっと大きかったかしら?





あなたのサイズは私の頭にインプットしてあったはずなのに・・・』










『そっ、そんなことないです。丁度いいです。






あたしたちの歓迎会はもとより・・・





こんなにステキなドレスまで用意していただいて・・・





なんとお礼を言ったらいいのか・・・』











『お礼なんていらないわ。




私が好きでやっていることですもの^^





未来の妹に対する 義姉からの愛情表現だと思って許してね』











どこまでも慈悲深く、そして愛情深い。






ずっと憧れていた。





いつか 自分も椿のような人間になりたいと。









地位や名誉やお金が全てではないと 身をもって経験した人。








そして 権力に負け、親に敷かれたレールに乗ったけれど 





結婚という人生を プラスに受け止めた人。









だからこそ 椿が心から応援してくれているのだと つくしは思っている。













『それより、どう?ワインの味は』












『あ・・・はい、




とても美味しいです』








両手に挟まれたグラスの紫が緩やかな円を描く。









『そう、それは良かったわ^^』












・・・・・嘘。









椿は知っていた。






つくしが まだ1度もグラスに 口をつけていないことを。





そして いつもなら美味しそうに食べるディナーも 






疲れているから・・・という理由で ほとんど残していたのだ。













『あれ、お姉さんはワインじゃないんですか?』













『あぁ、これ?




オレンジジュースよ』









「子供みたいでしょ?」と付け加えて。









『どこか具合が悪いんですか?』









椿がワインを遠慮することなど 信じられなかった。













『うーん、悪いと言えば悪いような・・・






飲みたいのは やまやまだけど・・・





私がお酒なんて飲んだら この子が酔っ払っちゃうわ』










綺麗な指先で そっと そこに触れる。





そこから愛がコンコンと湧き出ているかのように。










『・・・・この・・子?って・・・






お姉さん・・・ひょっとして 妊娠・・・』













『そうなの。ちょうど安定期に入ったところなのよ』










『そうだったんですか・・・





すみません、あたし 全然気づかなくて・・・





遅くなりましたが、おめでとうございます』












『ありがとう、つくしちゃん』






ここに来たという現実を受け止めるのが精一杯で



おなかの膨らんだ椿を まともに見ていない 自分を恥じた。









『それにしても 自分が母親になるなんて なんだか不思議よね。





この先 ずっと夫と二人で生きていくと思っていたから・・・






”あの”仕事人間の夫がね、滞在先から 慌てて帰ってきてくれて





一緒に祝ってくれたのよ。










最初はね、政略結婚だから 愛情は二の次だって思ってたんだけど・・・



だけど 夫は違ってたの。




確かに何度か反発して 家を飛び出したこともあったけど・・・




いつも 両手広げて待っててくれたわ。







だから妊娠した時は 本当に嬉しかったの。







夫に巡りあえたことだけは 両親に感謝したわ。






おかしい話かもしれないけど・・・




結婚してから恋愛してるような気がするのよ、私たち。






一気に燃え上がる愛よりも・・・




静かに育む方が 私たち夫婦には合ってるみたい』















「ノロケちゃってるわね」と幸せそうに笑う椿が美しく見えた。






そして・・・






うらやましくも。















『あ、類が来たわよ』












椿がドアの前に立ってる類を見つけると





「こっちへいらっしゃいよ」と手を小さく振った。












(−−−−−類が)










つくしは どうしても振り返ることができなかった。






あの時のことを思い出してしまったから。








静かに近づいてくる その気配を全身で感じ




ただひとり 息をひそめていた。











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あとがき


いつも読んでくださって ありがとーです^^
もちろん愛のポチもありがとうございます^^

昨日更新しようと思ってはいたのですが・・・
いろいろと予定がありまして・・・

誤字脱字・変なとこ・・・あとで直しますのでヨロシクです^^




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A day of the winter 4

►2008/06/12 16:18 

『つくし!こっち、こっち!』








数十メートル先から自分の名を呼ぶ声がして、辺りをキョロキョロと見回すと 






ウサギのようにピョンピョン跳ねている彼女を見つけた。










「早く、早く」と両手を大きく振っている姿に 





老若男女・・・行き交う人々が”何事か?”と振り返る。









思わぬ所で 注目の的になってしまったつくしは、




恥ずかしさのあまり帽子を深く被り直した。
















『遅せーよ。





時間ギリギリだぞ?』











『ごめん、ちょっとバタバタしてて・・・』











『バタバタって・・・






まっ、まさか、おまえ・・・





バイトしてきたわけじゃねーだろうな?』












『えっ、どうして美作さん知ってるの?』












『どーしてって、おまえその格好見れば わかんだろっ?』












誰が見ても旅行に行くような服装ではない。







しかもバイトの途中で抜け出して来たため、





制服の上にコートを羽織っているだけである。





そこへ 旅行用の帽子をちょこんと被っただけ。













『それよりおまえ 顔色わりーいぞ?





大丈夫か?』












あきらが心配そうにつくしの顔を見下ろしている。









『あ・・・




あぁ、単なる睡眠不足』


















『働きすぎなんだよ、勤労処女めっ』









『西門さんっ!






もう、いい加減 その言い方は やめてって言ってるでしょ?






あたしは・・・』











『まだ処女なんだろ?』










『うっ、うっ、うるさいわねっ!あんた達みたいに 



易々と身をささげられないのよっ、あたしは!』










シーン-------------------









『・・・つく・・し?』













『///あっ、やっ、だから・・・





もう、ヤダ
・・・///』










冷たい視線の集中砲火を一身に浴びてしまったつくしは




顔から火がふいたように 真っ赤な顔で俯いてしまった。













『とりあえず、来てくれてよかったよ、つくし』









ホッとしたように つくしに纏わりつく滋。






まるで猫のようだ。

















『でも、なんか変なのよね・・・』








首を傾げながら つくしがポツリと呟く。









『どーかしたの?』








『あ、うん。あのね・・・





今朝、いつものようにバイトに出たら、後から出勤して来た店長が







あたしの顔を見るなり、「バイトはいいから早く帰りなさい!」って言うのよ』









『あら、親切な店長さんでヨカッタじゃない^^』










『それは、そうだけど・・・





でも おかしいのよ?




人手が足りないから 休ませるわけにいかないって 昨日まで ごねてたはずなのに・・・




今日になって 掌を返すなんて・・・』












『まぁまぁ、細かいことは いいじゃないの^^




これで卒旅楽しめるね♪わーい、わーい^^』










『・・・・・・』










それでも腑に落ちない様子のつくしの陰で、





滋とあきらが示し合わしたように ニヤッと笑ったなんて




当の本人は知る由もない。













『あの・・・先輩?』













『ん、何?』










『荷物・・・




それだけです・・か?』










桜子が信じられないような顔で つくしの荷物を凝視している。













『うん、そうだけど・・・





卒旅っていっても、あまり遠く行かないんでしょ?




って、まさか、熱海じゃないよね?』










『えぇ・・・まぁ・・・』











『1週間ぐらいなら こんなもんでしょ?』










つくしが手にしているのは 





ちょっと大きめのボストンバッグ・・・ひとつだけ。










『あれ?





みんなの荷物は?』












『もう、向こうに送ってある』










『さすが、お金持ちは違うのね』












『じゃあ、みんな揃ったことだし 行くか』











『美作さん、花沢さんは?』











『あぁ、類なら今フランス。






明日あたり合流するって言ってたぜ』











桜子が その名をあげたときに つくしの心が ざわめき始めた。






気にしないようにしてたはずなのに・・・






ここにやって来たとき 一番最初に さがしたのは類・・・






その人なのだから。













深夜に訪れた訪問客。





あの日以来 彼とは会っていない。






思いもよらなかった 彼からの告白。






「つきあおうか・・・」







彼は つくしの瞳を真っ直ぐ見て そう言った。








けれど、つくしはそれに答えることができなかった。







いいよとも。







ダメだとも。

























『何、ボーっとしてんだよ?行くぞ?』











総二郎が立ち止まったままのつくしの背中を押すと










滋が「ちょっと待って!」と 歩き出した仲間を呼び止めた。










『おい、おい、滋。




こんなところで何やってんだよ。 すげーみんな めーわくしてるぜ?』








フロアーの ど真ん中で 手にしていたバッグを ガサゴソしている滋。









『滋さん 散らかしすぎですよ!





いったい何を探してるんですかっ!』








まるで子供のおもちゃを 母親が次々と片付けているかのように





桜子が せっせとかき集めている。









小さなバッグに ”いったい どうやって詰め込んできたんだ?”と




そこにいた仲間達の誰もがそう思っていた。












『ところで、どこに行くの?




あたしまだ聞いてないんだけど・・・』










『行き先はヒ・ミ・ツ! 





名づけて・・・ミステリーツアー!』












『ミステリーって・・・どんなミステリーなのよ』










『あったぁ〜!!!





ねぇ、つくし。 ちょっと これつけてみて』









『えっ?これを・・・・?』





















何も見えない、聞こえない。







(いくらミステリーツアーとはいえ、ここまでしなくても)









滋が差し出したのはアイマスクとヘッドフォン。











心地よい ヒーリングミュージックを聴きながら つくしは




これからどこに向かうのか見当もつかなかった。













定刻どおりに飛行機は離陸し、





これから長い空の旅が始まろうとしているのに、すでに主役は夢の中。







せっかく客室乗務員が用意してくれた膝掛けも





何の意味もないまま、無造作に床に落ちている。










『つくし・・・よほど疲れてたんだね。ずっと眠ったままだよ』











滋が愛おしそうにつくしを見つめながら もう一度それをかけ直した。









『・・・ねぇ、桜子。




つくし・・・喜んでくれるかな?』













『そうですね、きっと喜んでくれるはずですよ。








あっ、そーでもないかも。







先輩の性格からすると、もしかしたら”帰る”って大騒ぎするかもしれませんよ』











『あはは、言える、言える。







でも・・・





今のあたし達には これぐらいのことしか出来ないよね・・・』



























空港に到着してからも 


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