red sign☆(TSUKASA side)☆1
『もう、いい加減あきらめたら?』
2年ぶりに再会した親友は決定的な言葉を発した。
と同時に そいつの胸ぐらを掴んでいた俺。
・・・それを言いたいがために、わざわざ俺を迎えに来たというのかっ?・・・
『もう終わったんでしょ?』
皮肉まじりの一言で 俺はようやく現実に戻り、
怒りに任せたその手をゆっくり離した。
・・・そう・・だよな・・・
・・・終わってん・・だよな・・・
乗り込んだ車の中から 懐かしい景色を眺めつつも
俺の心は遠い過去に戻っていた。
巻き戻せるなら・・・
巻き戻したい。
取り戻せるなら・・・
取り戻したい。
あいつと別れて2年。
2年・・・か。
傷つけるような言葉を並べたのも。
信じようとしなかったのも。
一方的に関係を断ち切ったのも。
全部、この俺。
手放した小さな手は遠い空の彼方。
今更、後悔しても”身から出た錆”。
自分の過ちに気づいたときは もう何も残っていなかった。
せめて謝りたかった。
たったひとことだけでも。
でも それは簡単に許されるものではなかった。
俺に科せられた期間は2年。
たった2年。
されど2年。
ずっと待ってた。
この日が来るのを。
待って、待って、待って。
やっと。
やっとだ。
なのに。
今の親友の言葉で 意気揚々としていた俺の心は 簡単に砕け散ってしまった。
都合のいいことばかり考えて。
傷つくことを恐れる情けない自分。
あいつの心はもう離れてしまったのかもしれない・・というのに。
変な期待をしちまうなんて。
何、甘いこと考えてんだよ・・・俺。
『・・・綺麗になったよ』
親友がポツリと呟いた。
誰のことを言っているのかすぐに解ったが、さっき受けた心のダメージは・・・大きい。
『そ・・・か』
答えるその声に覇気がない。
『うん、会うたびに思うよ。
最近 言い寄ってくる男も増えたみたいだしさ』
・・・ぴくっ・・・
・・・おと・・こ?・・・
『もちろん本人はまったく気づいてないんだけどね。
相変わらず鈍感だし』
『おまえ・・・あいつとマメに会ってるのか?』
『今はお互い仕事忙しいし、なかなか会えないんだけどね。
でも・・・なんでそんなこと聞くの?』
まるで俺の心を見透かしたかのように毒を吐く親友・・・
もとい。
悪友。
『べ、別に・・・なんでも・・ねー・・よ』
反論する権利さえ、今の俺にはない。
はぁ〜・・・
全然 成長してねーよな?・・・俺。
相変わらず、すげー単純だし。
名前を聞くだけでバカみたいに反応しちまう。
『ねぇ・・・
今からハワイに行かない?』
・・・はぁ?・・・
『おまえなぁ〜。
寝すぎて とうとう ここ、イカレちまったのか?』
人差し指で頭をつつく。
突拍子もないことを言い出した悪友に さすがの俺もキレ モード。
そう。
俺はたった今、6年間のNY生活を終えて 帰国したばかりだ。
だから、こいつの言ってることが全然理解できねぇ。
なんで、ハワイなんだよ!?
どうやったら、どう考えたら・・・ハワイって思いつくんだよ!?
『会って確かめたら?』
足を組み替えながら 余裕のあくびをひとつ。
『?』
何言ってんだ?
意味わかんねーし。
またまた意味不明なことを言い出す悪友に むしゃくしゃして、
やめていたはずのタバコに手を伸ばす。
『本人に会って確かめるんじゃなかったの?』
口に銜えたタバコをポトリと落とす。
火を点けてなくて幸いだった。
『2年前に言ったよね?
2年後・・・おまえの気持ちが変わらなかったら会いに行けってさ。
・・・いい機会なんじゃないの?
未練タラタラだった2年間も これでようやく終止符が打てるね』
『その”未練タラタラ”って言うのはやめろ』
俺の気持ち知ってて、逆なでするようなことばかり言いやがる。
『どーすんの?
行くの?行かないの?』
・・・どうするも・・・何も・・・
・・・行くに決まってんだろうがっ!!!・・・
・・・って言ってやりたいところ・・だが。
『・・・行ってやっても・・いいぜ』
心と裏腹な言葉がポロリと出てしまう。
『相変わらず素直じゃないね。
そーいうところが嫌われちゃうんだよ』
『・・・・・』
『まぁ、いいや。
どっちにしろ嫌われてるかもしれないしね。
じゃあ、電話するから静かにしててね』
・・・おまえ、ほんとぉ〜に性格悪くなったなっ・・・
『なっ・・・
なんで、あいつがハワイに行くって知ってんだよ?』
とりあえず状況を 俺なりに探ってみる。
『昨日、進から連絡もらったんだ』
『進って・・・
あいつの新しい男なのかっ?』
『あのねぇ〜・・・
NY生活が長すぎて、弟のことも忘れちゃったの?
あんなに仲が良かったのに』
怪訝な顔で俺を覗き込む。
憶えてるさ、もちろん。
でもな・・・
それを忘れちまうくらい、俺は・・・
長いコールのあとに、微かに女の声が聞こえた。
・・・あいつだ。
ずっと聞きたかった声に思わず硬直する。
・・・すげー心臓にわりーよ、この展開・・・
『あ、牧野?おはよう』
・・・何だよ、この馴れ馴れしい会話は・・・
すげー楽しそうだな・・・”花沢類くん”・・とやら。
昔の俺だったら絶対に おまえをぶっ殺してた。
よかったな・・・今の俺で。
『じゃ』
電話を切ると、俺のほうをチラッと見て
何もなかったようにケータイをポケットにしまいこんだ。
その顔・・・ムカつく。
・・・勝ち誇ったような顔をしやがってっ!・・・
『牧野、変な声だったな。
・・・もしかして泣いてたのかもねぇ』
・・・泣い・・・てた?・・・
『きっと、サイテー男のことで また悩んでるんだろうねぇ』
『さっ、サイテー男って・・・あいつの・・・』
『うん。
ホント男の趣味が悪いんだよね、昔から』
・・・そこ強調すんじゃねーよっ・・・
『まぁ、気にすることもないんじゃない?
もう彼氏でもないんだしさ。
第一、牧野に付き合ってる男がいてもおかしくないでしょ?
もう2年経つんだしさ』
・・・くぅぅぅぅ・・・
・・・こいつ わざと・・・
そして俺はトンボ帰りのごとく・・・再び空港に戻るハメとなった。
道明寺エアポートでも よかったんじゃねーのか?
わざわざ、移動するなんて面倒くせー!
思い立ったら すぐ行くもんじゃねーのかよ?
なのに・・・
なんで・・・だ?
なんで、なんでなんだ!?
『なんで おまえらがいるんだよっ!!!』
『そう興奮するなって。
久しぶりの再会なんだから。
実はさ、ハワイでおもしれーもん見せてくれるって・・・
連絡あったんだ』
・・・あきら・・なんだよ、その・・おもしれーもんってのはよ?・・・
『おまえの人生の転機なんだぜ?
撃沈したときに誰がおまえの骨 拾ってやるっていうんだよ?』
・・・総二郎っ!その口 へし折ってやるっ!!!・・・
『いい加減、大人になったかと思ってたのに、全然成長してないねぇ。
なんかすごく・・・ガッカリ』
・・・滋、おまえだけには言われたかねーよ・・・
『もし先輩に振られたら 今度こそ合コンしましょうね♪』
・・・三条っ!俺は合コンなんて大嫌いだぁぁぁ!!!・・・
何で・・・
よりにもよって・・・
こいつらとハワイに行かなきゃなんねーんだよっ!
こいつらを連れてきた張本人は のんびり あくびなんてしてやがる。
すっげー腹が立つ!!!
『類・・・これはどういうことだ?
説明しろよ』
『総二郎が言ったとおり・・・だけど?
あれ?聞いてなかったの?』
・・・どこまで 嫌味ったらしいヤツなんだ?おまえはっ!・・・
『あ、そうそう。
牧野はもう彼女じゃないんだから、その辺はわきまえてね』
・・・イタイところをサラリと言いやがる・・・
『わっ、わかってるよ!』
おまえに言われなくても・・・
そんなのわかってんだよ、とっくに。
あいつのことを とやかく言える立場じゃねーってことぐらい・・なっ。
乗り込んだ飛行機の中でぼんやりとあいつのことを考えてた俺。
『そういえばさ、この前 またナンパされてたぜ。
まぁ〜俺というイイ男が現れた途端、相手はシッポ丸めて逃げちまったけどな♪』
『へぇ〜あきらも?』
『この前の合コン、先輩すっごい人気で、私の出る幕なかったんですよぉ〜♪』
『”分からず屋”と別れてから すっごく綺麗になったもんねぇ〜♪』
・・・分からず・・屋だと!?・・・
・・・人が黙ってれば、いい気になりやがってっ!・・・
・・・イライラするようなことを つべこべと・・・
こうなったらっ!
・・・全員ぶっ殺す!!!・・・
・・・って。
落ち着け・・・俺。
怒りの拳をポケットにしまい込む。
大人になれ、大人に。
冷静に、冷静に。
『手・・・震えてるよ?
そんなに寒いの?温度上げてもらう?
客室乗務員のお姉さんに』
類のやつ、俺をおちょくってんのかっ?
・・・やっぱり、絶対にぶっ殺してやるっ!・・・
全て終わった後になっ!
覚悟しとけよっ!
なあ、牧野・・・
俺の知らない間に そんなに綺麗になったのか?
おまえを泣かす男って どんなヤツなんだ?
もし許されるなら俺がおまえの涙を拭ってやりたい。
おまえにとって、俺はもう過去なのか?
存在すらしないのか?
おまえの気持ちが知りたい。
ただ、それだけなんだよ。![]()

いつも遊びに来てくれてありがとう (。・ω・。)ゞ ポリポリ
お気に召しましたらポチっとお願いしまする。
いよいよTSUKASA Side始まりましたよ。
少し修正しました。(内容は変わりません)
類くん・・・毒吐きまくりです。
司くん・・・(´Д`人)ゴメンネ☆
〜red sign☆TSUKASA☆2・・・読んじゃいまするか?長いですけど〜



