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temperature of the kiss〜キスの温度〜               番外編☆安藤くんの巻☆

►2008/02/17 08:50 







今日は自分の不甲斐なさを自覚させられた一日だった。









この企画がうまくいけば俺の自信となって・・・




正々堂々とプロポーズできたかもしれないのに・・・







また振り出しに戻ってしまった。















・・・仕方ない・・・














副社長の意見は適切だった。













全ては後先考えずに、素人の彼女を起用した俺の責任だ。


















・・・しかし・・・













・・・本当に綺麗だったな・・・
















学生時代から想像もつかないような変貌ぶりに・・・






俺としたことが・・・






撮影中も何度見惚れてしまったことか・・・










それは内面から滲み出てくる美しさで、



衣装とかヘアメイクだけでは引き出せないもの。








彼女から幸せのオーラが漂っていて・・・




見守っているこちら側にも伝わってくるような・・・




本当に不思議な感覚だった。

















それより もっと驚いたのが・・・






副社長の登場だ。








直々に現場までやってくるなんて奇跡に値する。













・・・あんなに忙しい人が何故、撮影ごときに やって来たのだろうか?・・・













・・・確か・・今日は大切な会議があったはずじゃ?・・・
















腑に落ちない・・・











牧野をメープルホテルへ送った帰りのエレベーターの中で




ずっとそんなことを考えていた。



































マンションに帰って来たのはそれから数時間後のこと。










熱いシャワーを浴びた後、



コンビニで買った冷えたビールを口に運ぶ。








気泡が音をたて乾いた喉を潤していく。











タオルで濡れた髪を乾かしながら、いつものようにテレビのリモコンに手を伸ばす。










辛うじていつもチェックしているニュース番組に間に合った。







いつもならここでスポーツニュースなのに・・・








なぜか今日は・・違う・・・らしい。


















・・・なんだ・・?・・・これ・・・














・・・記者・・会見?・・・











フラッシュが会場を覆い尽くしているため、その姿を見ることができない。









時計を見るとすでに深夜をまわっている。










恐らく数時間前のものを再放送しているのだろう。














・・・また大物芸能人の結婚会見か?・・・














・・・つまんねーな・・・















そんなものには一切興味のない俺はチャンネルを変えようと




再びリモコンに手を伸ばした。









チャンネルを切り替えようとした次の瞬間 ・・・



ありえない光景が目に飛び込んできた。















・・・!!!・・・











手にしていたビールをうっかり落としてしまう。








ビールがジワジワとラグに染み込んでいく。









一瞬そちらに目がいったが・・・それどころじゃないっ!










驚きすぎて言葉がでないと言うが・・・こういうことを言うのだろうか?







それなら まさに俺はその状況に直面している。

















・・・ま・・・き・・・の?・・・

















数時間前に一緒にいた彼女が・・・





メープルホテルまで送り届けた彼女が・・・
















・・・なんで・・テレビに映ってるんだ!?・・・
















しかも俺を驚かせたのはそれだけじゃなかった。








俺にビジネスの甘さを痛感させた人物が




彼女の隣りに・・・いる。







しかも・・・当然のように。













・・・どうしてこの二人が一緒に・・・?














・・・頭が・・混乱する・・・















・・・全然意味わかんねぇ・・・














頭を抱えながら必死にその状況を理解しようとした。















・・・『結婚を決めたその理由は・・・?』・・・














記者の一人がその質問を投げかけたとき・・・




俺の動きが止まる。










・・・はっ?・・・












・・・けっ・・・こん?・・・















・・・結婚・・・って・・・













・・・まっ、牧野と ふっ、副社長がぁ!?・・・














・・・けっ、結婚!?・・・









・・・うっ、・・・ウソだろ?・・・












・・・これは・・夢か?・・・














・・・そうだ・・これは夢なんだよ・・・














・・・今日はいろいろありすぎて疲れてるんだよ・・・










・・・そうだよ・・・こんな話ありえねぇーよ・・・











・・・庶民の牧野が・・・道明寺財閥の御曹司と結婚なんて・・・










・・・さっさと寝ちまおう・・・












・・・そうだ、それがいい・・・












・・・俺は精神的に疲れてるんだ・・・










・・・かなり重症だな、こりゃ・・・












・・・明日の朝には” ホラ、やっぱり夢だった”って笑えるさ・・・



































結局・・・




昨夜は興奮してしまって なかなか眠つけなかった。










夢だと思っていた出来事がようやく現実のものだと理解できたのは




駅で買った朝刊を読んだ後でのこと。
















・・・世紀の結婚か・・・















これでようやく謎が解けた。









副社長があの現場に現れた理由が。








牧野をモデルに起用するなんて・・・







俺はとんでもないことをしようとしてたんだな。












思い出してみれば牧野もデパートに現れた副社長をジッと見つめていたし、





赤ちょうちんで飲んだときも・・・ハードルが高すぎる恋愛だったって言ってたし・・・










これでようやく 俺の心の中での辻褄が合った。










でもそれを知ってしまった今・・・











・・・どう接すればいいんだ?・・・










これからも仕事上、何度も顔を合わせることになる。









今までのように馴れ馴れしく牧野とは呼べないよな。









あいつは未来の社長夫人だしさ。














やっぱり・・・








距離を置いて接したほうがいいのかもしれない。





















黒塗りの車がスッと俺を追い抜いて行く。








その車は数十m先で静かに停まった。














何気なく目をやると その車から華奢な女が降りてきた。








その表情はよく見えないが ここから見てもソワソワしているのがよくわかる。









辺りをキョロキョロと見渡しながら 車の開いた窓に手を置き





何をするのかと思いきや・・・





中に乗っている人物とくちびるを重ねている。







こっちにまで音が聞こえてくるようだよ、まったく。








そのまま通り過ぎるのも微妙な感じで、



その手前で思わず立ち止まってしまった。

















・・・ずいぶん朝から見せつけてくれるじゃねーか・・・

















気を遣ってわざわざ立ち止まってるのがバカバカしくなって・・・






俺は知らん顔でその車の横を足早に通り過ぎる。



















『よぉ、安藤』














俺の名を呼ぶ声が車の中から聞こえた。







ゆっくり振り返ると俺はそこにいた男と女に釘づけとなった。







女も驚いた顔で俺を見ている。














『あっ、あっ、安藤くん、おっ、おはよ・・・』













キスを見られてしまったことにかなり動揺しているようだ。















・・・朝から・・この展開かよ・・・















『・・・おはようございます』












何故か冷静に深々と頭を下げる俺。















『安藤、今度こいつをモデルに誘うなら俺も誘ってくれよな?』













皮肉っぽく聞こえるのは・・・やっぱり まだ怒ってるんだろうな。










・・・第一目が笑ってない・・・














『なっ、何言ってんの!?』














『いいじゃねーか。




二人で出たほうが誰もおまえに手を出さねーだろ?』













『ちょ、ちょっとあんたバカじゃない!?



言ってることがめちゃくちゃよっ!』














・・・ば、バカって・・・














牧野が道明寺財閥の次期後継者を・・・バカ呼ばわりしている。














・・・信じられねぇ・・・















『てめー!旦那に向ってバカとはなんだよっ!』














『バカだと思ったからバカって言ったのよ!バカ!』













しばらく呆然と二人のやりとりを見つめていたが・・・













『じゃあ、俺はこれで・・・』














俺が背を向けたことも気に留めることもなく、まだ言い合っている二人。














・・・あぁ言えば・・こう言う・・・














何だか見せつけられてるようで・・・こっちが恥ずかしくなる。















・・・フッ・・・似たもの同士だな・・・












あまあまな夫婦ゲンカに付き合ってられませんよ。















そうそう・・・




副社長・・・言い忘れましたけど。










あなたが心配することはありません。







あなたが牧野の旦那だって世界中に知られてしまった今、



誰も手なんか出したりしませんよ?











もちろん・・・俺もですけどね。












まだ本命にプロポーズさえしてないのに・・・



こんなところで死ねませんから。




















さてと・・・新しいモデルでも捜しますか・・・

















今度はモデルの旦那のこともチェックしないとな・・・









あとで何があるか・・わからないですからね?・・・副社長。

















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