Sweet Secret〜俺だけの秘密〜(雪乃丞さまHP3万Hit・キリ番Get)
Sweet Secret
俺だけの秘密
俺の足はいつものように、誘われるように
────その場所『非常階段』へ向かう。
毎日その場所へ行きたくて大学に来ているようなもんだ。
ガラス戸を開けると、陽光がやさしく差し込んだその場所に
「あ、花沢類」
漆黒の瞳の人────牧野が振り向き笑いかける。
俺はこの笑顔が見たくてここへ来ている。
何気なく隣に座り、良く喋る牧野の横顔をみて
話の内容より、忙しく変わる表情に笑いを零す。
笑う、怒る、黙る、焦る・・・ほんと面白い。
牧野といると安心するのか、いること自体が俺の一部なのか
とにかく居心地がいい。
この時間は、この場所は誰にも邪魔されたくない。
たとえそれが俺の親友であっても。
ここは俺と牧野だけの『空間』だから・・・
「今朝、早かったから眠くて・・・ふぁぁーー」
牧野が欠伸を1つ────
NYに行った俺の親友と電話で話をしていたんだろう。
「お願い、始業のチャイムが鳴ったら起こしてね」
そう言うと俺の横で寝転がった。
牧野、頼む相手を間違ってるよ
ククッ・・俺だって眠いんだし。
俺はその隣に寝転がり、顔を牧野の方へ向けた。
無防備に寝ているその横顔に無性に愛しさを感じ
そっと手を伸ばし髪に触れる。
やさしく吹く風と共に、それを指に絡ませ弄ぶ。
今、ここには俺と牧野だけ・・・
その幸せな思いと裏腹に、このまま時間が止まってくれないかと
感傷的な思いに苛まれる。
叶わない想いはどこへ行くのか
どこへ行きたいのか・・・俺自身、分からない。
ただ1つ、明確なこと──── それは
『牧野を見守っていくこと』
親友と共に歩んでいくであろう牧野を
今後も変わらず見守っていくこと・・・
苦い思いも、歯痒い思いもするだろう。
それさえも牧野の傍にいることの代償なら厭わない。
『愛しい人の傍にいることが出来る』
形はどうであれ
それほどの幸せが他にあるはずもなく
自ら、その道を選んだ。
その想いに応えてもらえないとしても・・・
・・・やけに感傷的だな・・俺
恨めしい始業のチャイムが鳴る────
「んー・・・」
もぉ・・邪魔すんなよ・・・牧野が起きちゃうじゃん。
もう少し、このまま・・・
俺は身を起こして、牧野の耳を軽く両手で塞ぎ
上から寝顔を見下ろす────
薄く開いた口元がフッと笑ったように見えた。
抑えきれずに俺は自分の髪が
牧野にかからないように押えて
顔を近づけ、そっと・・・刹那にくちびるを重ねた。
そして身を横たえてその瞬間の感触に
浸るように瞼を閉じる。
同時に寝ていた牧野が目覚めた。
「?!は、花沢類っ?!────あ・・夢か・・・
びっくりしたぁー・・あああたしったら
なんて夢、見ちゃったんだろ////
は、花沢類に・・ききキスされちゃう・・夢なんて・・・
はぅ!授業、始まってるじゃん!!!
花沢類ったら起こしてくれないなんて!もぉ!」
相変わらず、恥ずかしいとき特有の
早口のデカイ独り言を言って
牧野は教室へ走っていった。
俺がキスしたのは夢じゃないんだけど。
・・・ククッ・・牧野にも教えてあげないよ。
ここは俺と牧野だけの『空間』
牧野との秘密のキスは俺だけのもの・・・
心地いい風に吹かれ牧野に対して
『俺だけの秘密』
を持った幸せな気分に抱かれて
俺はそのまま夢の世界へ迷い込む・・・
end



